スコットランドの14人先発入れ替え 日本が次に目指すべき境地とは

[ 2019年10月9日 09:30 ]

練習を行うスコットランド
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 ここまで露骨に来るとは想像できなかった。きょう9日、ロシアとの1次リーグ第3戦に臨むスコットランド。すでに小紙でも報じているが、34―0で快勝したサモア戦から、実に14人も先発を変更した。W杯スコッドは31人。理論的には15人全員を入れ替えることも可能ながら、14という数字も総入れ替えに近い。グレガー・タウンゼンド監督は、サッカーの世界では時々批判の対象となるターンオーバー制を採用した形だ。

 試合日程が決定したのは、一昨年の11月。約2年も前に決定している。したがって思いつきで採用したわけでなく、数カ月も前から計画し、入念に準備してきた上の採用だろう。相手(ロシア)への敬意を欠くとの見方もある一方、いかに格下とは言え、勝ち点5の獲得が至上命題の一戦を“2軍”で戦うのは、よほどの戦力の厚みと自信がなければ、実行できないはずだ。

 かつて日本も同様のターンオーバー制を採用したことがある。有名なのがジョン・カーワン・ヘッドコーチが率いた11年ニュージーランド大会。初戦でフランスに健闘も、続くニュージーランド戦は先発10人を入れ替える1・5軍で臨んだ。ニュージーランド戦から中4日で迎えるトンガ戦に必勝を期すための策だったが、これが指揮官の出身国でもある相手の逆鱗(げきりん)に触れた。結果は7―83の大惨敗。結局、トンガにも勝てず、最終戦ではカナダに引き分け未勝利。ターンオーバー制は不発に終わった。

 4年前のイングランド大会でも、初戦の南アフリカ戦からスコットランド戦まで、中3日しかなかったのは周知の通り。だがJKの後任となったエディー・ジョーンズHCは、節目ごとに繰り返される「ターンオーバー制を採用するのか?」との問いを否定し続けた。結論を言えば、スコットランド戦で変更となった先発は6人。ケガ人の影響もあり、変更人数は少ないとは言えないが、リザーブを含めた23人で見れば、変更は3人しかいない。

 スコットランドの策が吉と出るか凶と出るか。結論はまもなく出るが、日本も4年後は再び真剣に考えなければならない状況になるだろう。今大会は開催国として、試合日程は優遇されたが、フランスで開催される23年大会は、今回のような優遇は望むべくもない。国際統括団体ワールドラグビーが日程面の不均衡、不平等の改善に取り組んでいるとは言え、完全に解消できるとは思えないからだ。

 最新の世界ランキングでは、8位の日本が9位のスコットランドを上回る。これは一つの指標として、欧州の伝統国にまだまだ学び、追い付かなければならない面はたくさんある。堂々とターンオーバー制を採用できるほどの選手層が、日本が次に目指すべき境地だろう。(記者コラム・阿部 令)

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2019年10月9日のニュース