兄・逆鉾死去から一夜 錣山親方、大相撲発展へ「井筒の分も汗をかく」

[ 2019年9月18日 05:30 ]

報道陣に一礼する錣山親方(撮影・久冨木 修)
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 技巧派力士だった元関脇・逆鉾の井筒親方(本名福薗好昭=ふくぞの・よしあき)が16日午後9時11分、都内の病院で死去した。58歳。鹿児島県出身。関係者によると、最近は、すい臓がんなどを患っていた。葬儀は時津風一門葬として行われることが決定。実弟の錣山親方(元関脇・寺尾)は悲しみをこらえて相撲協会の業務を全うした。

 あまりにも早過ぎる死だった。関係者によると、井筒親方は名古屋場所後に糖尿病が悪化。検査ですい臓がんが発覚し8月下旬から都内の病院に入院していた。秋場所は初日から休場。がんは肝臓にも転移し、数日前から容体が急変したという。

 急逝から一夜明けた17日は、秋場所が行われている両国国技館が悲しみに包まれた。井筒親方の実弟の錣山親方は正面入り口での入場券チェックを終えた後に取材に応じ、16日夜は長兄の福薗好政氏(元十両・鶴嶺山)と一緒に息を引き取る場面に立ち会ったことを明かした。「本人は頑張った。それを褒めてやるしかないです。最後まで顔を見られたことは幸せだった。井筒は親父(先代井筒親方=元関脇・鶴ケ嶺)の元に戻った」と気丈に話した。

 日本相撲協会はこの日、緊急理事会を開き、横綱・鶴竜ら井筒部屋の力士3人と床山1人は鏡山部屋の一時預かりとなることを承認した。ただ、秋場所期間中は井筒部屋の名称が残り、新たな処遇は場所後に協議することになる。関係者によると、鶴竜らの受け入れ先は同じ時津風一門の時津風部屋か追手風部屋が主な候補に挙がっているという。実弟の錣山親方は二所ノ関一門の所属とあって、自身が後継者となる可能性には「うちは一門が違う」と述べた。

 現役時代は技巧派のもろ差し名人だった井筒親方。引退後は鶴竜を横綱に育てたのに加え、協会副理事も務めた。一門は違えど、錣山親方も大相撲の発展を臨んでいる。「井筒ができなかった分も、少しでも協会のプラスになるように汗をかくしかないんじゃないですか」。相撲に人生をささげた井筒親方の志は受け継がれていく。

 ▼八角理事長(元横綱・北勝海)突然の訃報に接し、ただただ驚いております。生前は、部屋の師匠として、横綱・鶴竜を育てられました。また、協会の副理事として、審判部副部長、巡業部副部長を歴任され、相撲道の継承と発展に尽力されました。まだ50代と若く、さぞ、無念のことであったかと思います。謹んでご冥福をお祈り申し上げます。(相撲協会広報部を通じてコメントを発表)

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2019年9月18日のニュース