ラグビー日本代表、W杯へ最高潮 「PNC」3戦全勝で5年ぶりの優勝

[ 2019年8月11日 05:30 ]

ラグビー パシフィックネーションズ杯最終戦   日本34-20米国 ( 2019年8月10日    フィジー・スバ )

パシフィックネーションズカップで優勝し、記念撮影するリーチ(中央)ら日本代表(撮影・吉田 剛) 
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 9月2日のW杯メンバー登録期限前最後のテストマッチに臨んだ日本は、米国を34―20で下し、3連勝で5年ぶりの優勝を決めた。日本は全3試合で4トライ以上を記録しボーナスポイントも得る完璧な大会制覇。フィジー在住の父コリンさん、同国出身の母イバさんや親類が応援に駆け付けたスタジアムで、2トライを挙げたリーチ・マイケル主将(30=東芝)も、40日後の本番へ確かな手応えをつかんだ。 

 内容は満点にはほど遠くても、2連勝で勢いに乗る米国に勝ち切る強さが、今の日本にはある。12個のペナルティーは相手の倍。新ルールになり解釈が定まっていないとはいえ、スクラムも劣勢だった。リーチは「反省が2つある。規律と相手のペースに付き合ったところ」と反省点を挙げたものの、「それでも結果が出て良かった。PNCを優勝し、いい流れでW杯に臨みたい」と視線を前に向けた。

 出場20カ国で最も早い2月4日に代表候補合宿を開始。ファンデーション1と名付けられた基礎づくり期間を経て強化試合6試合をこなし、ファンデーション2とした6月からは宮崎で、15年W杯を経験している選手が「エディーの時よりもキツい」と口をそろえる合宿を乗り越えた。今大会では過去相性が悪かったフィジーにも快勝。リーチは「日本はかなり強くなっている。特に接点」と基礎づくり期間の成果を実感した。

 スキルの面でも進化を証明した。後半15分のリーチの2トライ目の場面。自陣からFB山中が大きく突破した後、SH流→フッカー堀江→リーチと全てをオフロードパス(タックルされながらのパス)でつないだ。バックスのみならず、第1列のFW勢も取り組んだ練習の、結晶のようなトライ。「春からずっとやってきた。成果が出た」とうなずいた。

 プレー以外でもチームの成長が表れた。リーチが「非常に良かった」と評価したラインアウトディフェンス。3度スチールに成功した要因は、遠征に参加しながらベンチ外だったフランカー徳永祥尭(東芝)の研究成果だ。全てのサインを洗い出し、“仮想米国”の練習台になった全てが、徳永の自主的な行動だった。15年W杯では、サモア戦を前に前主将の広瀬俊朗らが、対策練習を十分にできるようにサモアをコピー。歴史的3勝の原動力となった選手の自主性は、すでに前回大会を超えつつある。

 3試合連続で開始10分以内にトライを挙げ、先行逃げ切りできる力も、昨年まではなかった。W杯本番は1分け3敗に終わった8年前のPNC優勝も知る主将は「いい流れにはなっているが、ここで変な自信を付けない方がいい」と気を引き締める。残り40日。4年間の集大成へ、最後の仕上げに入る。

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