競泳18歳大器 吉田啓祐 仲良し璃花子に誓う代表切符“一緒に日本代表に”

[ 2019年3月26日 08:30 ]

日大豊山高・水泳部のチームメートとともにポーズを決める吉田啓祐(手前中央右)と加藤綾子アナ(撮影・吉田 剛)
Photo By スポニチ

 【カトパン突撃!東京五輪伝説の胎動】競泳男子400メートル自由形で、第一人者の萩野公介(24)を自己ベストの3分48秒51で倒した“大器”が吉田啓祐(18、日大豊山高)だ。白血病を公表した池江璃花子(18)とは大の仲良しで4月から共に日大に入学。彼女との約束を果たすため代表入りを目指す。素顔は天性の“目立ちたがり屋”で憧れの加藤綾子アナウンサー(33)との対談でさらにパワーアップ。東京五輪が近づいた!

 ――2月のコナミオープンの男子400メートル自由形で優勝。4月の日本選手権に向けて調子も上がってますね。

 「ありがとうございます。いや、実は…優勝したんですけどタイムが悪くて。今はひたすら練習して自信を付けてます(笑い)」

 ――持ち味はラストの追い込み。いつも凄い巻き返しですね。

 「周りから見たら強みに見えるかもしれないけど自分では弱点。ラスト50メートルからしか飛ばせない。びびってツッコめない。やはり練習あるのみです」

 ――目指すは前半から攻めて最後も追い込む。日本選手権はそれも含めた挑戦になりますね。

 「派遣標準記録を目指すためには前半から飛ばさないといけない。体力をつけてスピードをつけてマルチスイマーになりたい」

 ――昨年11月に萩野選手に勝利。その時は予選からいけると思いましたか?

 「萩野さんは当時調子が悪かった。勝ったよりも五輪の金メダリストと泳げたことがうれしかったです。レース後には声も掛けていただいて頑張ってきて良かったと思いました」

 ――名門の豊山の練習は厳しいですか?

 「特別メニューはないっす。練習の質も高い“男”のメニュー。多いのはキック練習。レース後半になると疲れてきて精度が落ちる。それが体がきつくてもできるようになる」

 ――ご自身の強みはなんですか?

 「泳ぎがうまいと言われます。水をかいた時のキャッチが強み。空気の泡をかかずに水をかく。それは意識してます。泡ができない角度をつくって入水する。後は優しく水をかくみたいな…」

 ――ポイントは優しさなんですね(笑い)。それにしても手がキレイ。手のタレントさんみたいですよ。

 「今は毛が生えてますけどそったら足もきれいです(笑い)」
 ――課題はありますか?

 「スタートとターンの修正。400メートルだとターンが7回ある。1回で0・5秒くらい縮まるので、ちゃんとやれば3秒くらい伸びます。後はスタート。フライングが怖くて反応が遅いんですよ」

 ――そこまで怖いことなんですね?

 「陸上だとフライングしてもすぐに仕切り直し。水泳は泳ぎ終わった後に失格。中学の時に1回あって嫌になりました。だから毎回スタートが遅れます」

 ――4月からは日大に進学。白血病を公表された池江選手と同級生になるんですね。交流はありますか?

 「ボウリングやカラオケに行きます。今もLINEしてます。電話もしましたけど明るくいつも通り。ただ自分にはそういう弱さを見せないのかな、とも思います。治したら遊びに行こうねって言ってます」

 ――吉田選手の活躍が励みになりますね。

 「そうだといいです。璃花子に“一緒に日本代表になろう”と言われていたので彼女が帰ってくるまでになりたい。引っ張っていくのは難しいかもしれないけど、そういう気持ちでやっていきます」

 ――代表入りの手応えはありますか?

 「リレーだと代表に入れるタイムを持っているんですけど個人で出るのが目標。東京五輪では誰からも応援される選手になりたい。800メートルは派遣タイムまであと少し。日本選手権でもしっかり取り組む。チャンスが一つ増えた感じですね」

 ――豊山への入学を勧めた水泳部監督の竹村知洋先生はどんな方ですか?

 「優しいです。怒られたことがない。中学の時は悪いことばかりして何をやっても怒られていた。豊山に入ったことで僕自身も少しずつ変わりました」

 ――中学は反抗期だったんですか?

 「友達と遊ぶのが楽しくてよく練習をサボりました。水泳をやめてもいいと思った」

 ――上京して生まれ変わったんですね。

 「小学生の時から東京で働くのが夢だった。小島よしおさんとか芸人が好きで憧れだった。実家が農業で将来的に家業を継がなくてはいけない。豊山の勧誘があって“今なら行っていいよ”と言われて上京できた」

 ――水泳への姿勢も変わった?

 「高いお金を払って家族が東京まで出してくれた。その気持ちを踏みにじるような水泳生活はできないです」

 ――全然グレてないじゃないですか(笑い)。

 「お母さんには反抗してお父さんにはバレないようにしてました。お父さんは今でも怖いです(笑い)」

 ――上京して両親のありがたみも分かったんですね。

 「結構お小遣いくれます。UFOキャッチャーとかよくやるんですけど無駄遣いですよね。将来的には結果を出し て僕が稼いで住みやすい家にしてあげたい」

 ――UFOキャッチャー好きなんですか?

 「人形が好きなんですかね。かばんについてるジンベエザメは璃花子から沖縄土産でもらいました。部屋にぬいぐるみは飾ってますよ。好きという自覚はないんですけど…」

 ――元々芸能界に興味があったんですか?

 「目立ちたがり屋でテレビに出る仕事がしたかった。水泳で成績を出せば出すほど取材もしていただける。取材を受けるたびに記録も出さないといけないと思うんです。五輪でメダルを獲ればバラエティーに出るという夢がかなうかもしれないので頑張れます」

 ――正直ですね!それがモチベーションなんですね(笑い)。

 「実は加藤さんも憧れの存在。会えるなんて夢にも思いませんでした。昔、家族でホンマでっか!?TVをよく見ていた。上京する時も“カトパンに会えるよう頑張れ!”と言われました(笑い)」

 ――私もうれしいです。今まで頑張ってよかった。東京の生活は寂しくないですか?

 「全く寂しくない。高校の寮の門限は午後6時半でしたけど…(笑い)」

 ◆吉田 啓祐(よしだ・けいすけ)2000年(平12)4月17日生まれ、佐賀県唐津市出身の18歳。4歳から水泳を始め、小学生の時に県内の学童記録を次々更新。16年に日大豊山高に入学するため上京。18年10月のユース五輪で男子400メートル自由形で銅メダル、800メートル自由形で銀メダル。同11月の北島康介杯400メートル自由形で萩野に競り勝ち優勝した。1メートル82。

 【取材後記】純朴で素直。明るさがうかがえるインタビューでした。吉田選手は、その性格の柔らかさで全てを吸収できるから伸びしろも多いのだと思います。

 レースで一番の持ち味であるラスト50メートルの追い込みをウイークポイントに挙げたのは意外でした。客観的に分析できている証拠ですね。まだ18歳。五輪新設の800メートル自由形もフィットしてるし、全ての面でスケールアップしそうです。

 「メディアに出ることがモチベーション」ということを全部話しちゃうのもピュアだからですよね。女優の新木優子さんがタイプとのこと。ぜひ会えるように頑張ってください!わたしもまたインタビューできるよう頑張ります。(加藤 綾子)

続きを表示

この記事のフォト

2019年3月26日のニュース