東京五輪マラソンコース発表 名所巡って最後に待つのは地獄坂

[ 2018年6月1日 05:30 ]

東京五輪パラリンピック委員会が発表した五輪マラソンコース
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 2020年東京五輪・パラリンピック組織委員会は31日、都内で会見し、同五輪のマラソンと競歩のコースを発表した。19年11月に完成予定の新国立競技場を発着とするマラソンコースは、08年まで行われた東京国際女子マラソンと類似するレイアウト。終盤の四谷四丁目交差点付近の急坂は00年シドニー五輪金メダリストの高橋尚子さん(46)でさえも失速した難所で「四谷の激坂」を制した者が東京を制する可能性を秘めている。

 Qちゃんも泣いた、四谷の坂が選手たちを待ち受ける。発表されたコースは5キロ過ぎからほぼフラットだが、勝負どころの37キロ付近から上りが始まる。会見に出席した高橋さんは「私も03年東京国際女子で失速した経験がある。最後までしっかり走りきれる選手が勝つコースだと思う」と振り返った。市ケ谷から靖国通りへ入る東京五輪と違い、東京国際女子は外堀通りをそのまま上るコースだったが、坂の条件は同じ。一時は独走態勢だった高橋さんは坂の途中で抜かれて2位に敗れ、マラソンの連勝記録が6で止まって04年アテネ五輪出場も逃した。

 現在の東京マラソンと異なり、新国立が発着点となったため終盤に坂があるコースが復活した。スタート後は北上し、靖国通りを東へ。東京ドーム、浅草寺、東京スカイツリー、東京タワー、皇居と名所を目にしながら走るが、外堀通りで徐々に上り、靖国通りに入って富久町西交差点の手前から最初の急な上り坂。さらに40キロ過ぎの四谷四丁目交差点付近まで2つ目の急勾配がある。コースの最高標高地点は四谷四丁目交差点付近で約34メートル、最低地点は約1メートルで、終盤の3キロで30メートルを駆け上がることになる。

 酷暑を避けるためスタート時間は午前7時が検討されているが、厳しい気候に変わりはない。ペース配分を誤ると急坂で失速する危険性もはらんでいる。高橋さんは「最後まで分からないドラマチックな展開になるのではないか」と予想した。

 海外経験も豊富な公務員ランナー川内優輝(31=埼玉県庁)は「最後に上りがあるので、より過酷なレースにするにはいいコースですね」と話した。東京五輪については明言していないが、2年後のシミュレーションは始まっている様子。やはり最後の急坂をポイントに挙げ、「最後の坂はバルセロナのモンジュイックの丘ほどではないが、レースの鍵になる。遅れていても脚が残っていれば最後の坂で追いつくことができる」と展望した。

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