坂本逆転初V 平昌へ「ヨッシャー」成長止まらん17歳自己新

[ 2018年1月27日 05:30 ]

フィギュアスケート四大陸選手権第3日 ( 2018年1月26日    台湾・台北 )

日の丸を手に観客の声援に応える(左から)三原、坂本、宮原(撮影・小海途 良幹)
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 女子フリーで坂本花織(17=シスメックス)が142・87点を出し、自己ベストを更新する合計214・21点で初優勝した。同じく五輪代表でSP1位の宮原知子(19=関大)はジャンプの転倒が響き、合計207・02点で3位。2位は前回大会女王の三原舞依(シスメックス)で、日本女子の表彰台独占は2013年に優勝した浅田真央、2位の鈴木明子、3位の村上佳菜子以来で5年ぶりとなった。

 これはもう本物だ。坂本がSPに続き自己記録を更新した。高さと幅のある持ち味のジャンプで得点を伸ばす。午前練習で転倒した3回転ルッツも危なげない。ジャンプを全て成功。フリー曲「アメリ」を演じ切ると台北アリーナが歓声に包まれた。「ヨッシャー。全部出し切ったという気持ち。3回連続210点を超えれば本物と言って3回できたので、ちょっとだけ自分を褒めようかな」。

 国内の他選手と比べて倍近い、これがシーズン10戦目。中野園子コーチ(65)の厳しい指導で、一戦ごとに力を付けてきた。体を支えるのが昨年9月から通うワールドウィング神戸でのトレーニング。同ジムの初動負荷理論は、イチローが取り組んでいることで有名だ。主に股関節と肩甲骨の可動域を広げながら筋肉も付けている。週に1度、8種類の器具を使って1時間汗を流す。

 複雑な動きをするメニューが多いものの、指導する荻野智也さんは「説明したことをすぐに表現できる」とのみ込みの早さを絶賛。17歳の女子高生代表は「腕が動かしやすい。演技が大きく見せられるようになった」と“イチロートレ”の効果を実感している。実際、演技構成点において表現力の評価は上昇一途だ。

 SP2位から、エース宮原を逆転した。大きな国際大会での栄誉を初めて手にし、平昌五輪へ弾みが付いた。年始に口にした五輪の目標順位は「1桁」。その後の変化を聞かれ「じゃあ、片手(5位以内)で。ムチャやな」と、ノリツッコミ。ひょうきんな成長株に限界はまだ見えない。

 ≪ロシア2人強力もメダル争い可能≫メダル有力選手の各国選手権や大陸選手権など最近の成績を比較すると、ザギトワ、メドベージェワのロシア勢2人の実力が頭一つ抜けている。カナダ勢2人もハイスコアを出しているものの、ロシア勢ほど絶対的な力はない。日本勢2人がメダル争いに加わる余地はある。

 ▼中野園子コーチ(坂本について)いろんなところがまだ小学生。でも中学生くらいにはなってきたかな。

 ◆坂本 花織(さかもと・かおり)2000年(平12)4月9日、神戸市生まれの17歳。兵庫・神戸野田高2年。シスメックス所属。03年のNHK連続テレビ小説「てるてる家族」に影響され、4歳でスケートを始める。1学年上の三原舞依と同じ中野園子コーチに師事。昨季は全日本ジュニア選手権で初優勝し、世界ジュニア選手権で銅メダル。シニアデビューの今季、全日本選手権で2位に入り、平昌五輪代表切符をつかんだ。1メートル58、48キロ。

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