美誠 世界女王・丁寧を撃破!リオ団体金の予感増大

[ 2016年4月15日 05:30 ]

女子シングルス準々決勝で世界女王の丁寧(奥)を破り、喜ぶ伊藤

卓球リオデジャネイロ五輪アジア予選第2日 伊藤美誠4―2丁寧

(4月14日 香港クイーン・エリザベス体育館)
 第1ステージ女子準々決勝で、世界ランキング10位の伊藤美誠(15=スターツ)が世界ランキング2位の丁寧(25=中国)に4―2で勝利した。女子日本代表の村上恭和監督(58)が「世界一」と絶賛するサーブで相手をほんろう。これまで日本勢に立ちふさがってきた昨年の世界選手権女王から金星を挙げた。団体戦メンバーとして出場するリオデジャネイロ五輪で、金メダルを期待させる1勝になった。

 大仕事を成し遂げた女子高生は喜び方まで型破りだった。勝利が決まると、ぷっと噴き出しそうになったのか、両手で口を押さえた。会心の瞬間の表現はアスリートそれぞれでも、大うけをする選手はきっと伊藤ぐらい。ムフフと書いてあるような表情のままインタビュー場までやってきた。

 「ヒャヒャヒャ。ビックリしました。なんか、笑いが隠せない」

 種類が豊富なサーブで昨年の世界選手権女王を崩した。第2ゲームは9―9から連続サーブポイントで1―1に試合を戻した。第6ゲームも7―8、9―9の場面でサーブで得点を奪った。ここぞで決められるのが、女子代表の村上監督が「サーブでの得点は世界一」と評価するゆえんだ。

 女子卓球界では長身の、1メートル72の丁寧はリーチが長く「フォアハンドの体近くが弱点」(村上監督)。胸元をうまく突いたことも4戦全敗の強敵攻略につながった。「戦術は特になかったけど、自分のプレーが出せればと思っていた。5度目の正直かな」。初対戦から反省点や対策はノートに書きつづる。松崎コーチは「打つ前のラケットの面を見て方向や回転が察知できている」と研究の成果を口にした。

 日本協会は昨年9月の世界ランキングに基づいて五輪代表候補を決めた。日本勢3番手だった伊藤は団体戦の要員に回り、仮に今大会で勝ち進んだ場合でも本番では個人戦のシングルスには出場できない立場だった。腕試しの側面が強い大会で「五輪までに勝てたらいいと思っていた」という中国のエース格を撃破。初めての五輪を前に大きな自信をつかんだ。準決勝の石川戦は1ゲームを取った後に準々決勝で痛めた右手親指付け根の症状が悪化して棄権。涙を流して悔しがったが、「世界一の実力」と名高い丁寧を撃破したことは五輪へ向けて弾みになる。

 「(丁寧は)五輪だともっと力を入れてくると思うけど、チャレンジャーとして戦いたい」。ロンドンの銀を上回る団体の頂点へ。女子高生がカギを握る存在になってきた。

 <美誠0勝4敗、佳純0勝10敗、愛が1勝6敗> 昨年の世界選手権で優勝し、ロンドン五輪銀メダリストの丁寧は、日本勢にとって大きな壁だった。石川は通算10戦全敗。福原は1勝6敗で1つ勝っているものの、その試合は3ゲームマッチだった。伊藤もこの試合までは0勝4敗だった。

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