「スーパーラグビー」ポイントルール変更 世界に波及、19年W杯も?

[ 2016年2月20日 09:15 ]

サンウルブズの初代主将に就いた堀江翔太(左)とマーク・ハメット・ヘッドコーチ

 26日に世界最高峰リーグ「スーパーラグビー」が開幕する。日本からもサンウルブズが新たに参戦。27日に東京・秩父宮ラグビー場でライオンズ(南アフリカ)と初戦を戦う。さまざまな面で準備遅れが指摘され、レギュラーシーズン15戦で1勝もできないのではないかと不安視されているが、まずは序盤戦を見守りたい。

 そのスーパーラグビーで、今季からポイントルールに変更があった。具体的には、これまで勝ち=4、負け=0、引き分け=2に加え、ボーナスポイントとして4トライ以上のチームに1、7点差以内の敗戦チームに1がそれぞれ与えられていたが、今季からは「4トライ以上のチーム」ではなく、「相手よりもトライを3つ以上多く取ったチーム」にボーナス点1が与えられる。もともと、フランス国内のプロリーグである「トップ14」で昨季(14~15年シーズン)から採用されていたルールで、南半球のメディアは「勝ち点争いが、より競ったものになる」と評している。

 ニュージーランド、オーストラリア、南アフリカの世界3強が参加するリーグがルール変更に舵を取ったことで、おそらく今後は世界中のリーグに波及していくだろう。8月に開幕する次のシーズンのトップリーグもしかり。流れが主流となれば、3年後の19年W杯日本大会でも、このルールが適用されるかもしれない。

 これまで4トライ以上を取れば敗戦してもボーナスポイント1を得られていたのが、変更により極めて難しくなる。相手よりも3トライ(15点)以上とって敗戦することなど、現実的には起こりえないからだ。例えば新ルールを昨年のW杯の1次リーグに適用してみても、A~Dの4組それぞれで順位に変動はなかった。ちなみに日本が入っていたB組をシミュレーションすると、以下のようになる。

(1)南アフリカ 16→15

(2)スコットランド 14→14

(3)日本 12→12

(4)サモア 6→5

(5)米国 0→0

 初戦で日本に32―34で敗れた南アフリカだが、4トライを取って7点差以内の敗戦だったため、勝ち点2を得ていた。新ルールでは、これが1となる。サモアも敗戦したスコットランド戦で4トライを奪っていたが、その分のボーナスポイントがなくなる。

 スーパーラグビーではレギュラーシーズンに15試合を戦うため、影響はW杯よりも大きいだろう。そしてルール変更は戦略にも影響を及ぼす可能性がある。追い掛ける立場のチームは相手にボーナス点を与えないために、敗戦濃厚な試合終盤でもトライを奪いに行くようになる。あるいは相手より2トライ多く奪っているものの得点では競っているチームが、無理にトライを奪いに行ってミスを犯し、逆転負けを喫する――など。

 いずれにしても、試合をこれまで以上に面白いものにしてくれるルールであることを願いたい。 (阿部 令)

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2016年2月20日のニュース