腰痛耐えた 真央GPファイナル4度目Vでソチ当確

[ 2013年12月8日 05:30 ]

演技を終えた浅田は苦笑い

フィギュアスケート GPファイナル最終日

(12月7日 マリンメッセ福岡)
 失敗しても、価値ある大技2発だ。女子フリーが行われ、浅田真央(23=中京大)が131・66点をマーク。合計を204・02点とし、連覇で史上最多タイのファイナル4勝目を挙げた。2度挑戦したトリプルアクセル(3回転半ジャンプ)は転倒と両足着氷だったが、腰痛に耐えて高難度プログラムにアタック。史上初の同一シーズン3度目の合計200点超えで、ソチ五輪代表入りを確実にした。

 最高のスマイルからは程遠かった。演技を終えた浅田が、苦笑いを浮かべて首をかしげる。10年バンクーバー五輪シーズン以来、4季ぶりにフリーで2度のトリプルアクセルに挑戦。ラフマニノフの「ピアノ協奏曲第2番」が始まってから24秒後、冒頭の大技は激しく転倒。その26秒後、トリプルアクセル―2回転トーループは、大技が両足着氷で連続ジャンプにならなかった。

 「アクセル2回に挑戦したけど失敗して、途中から体力が持つか心配だった。悔しい思いもあるけど、次につながる」

 腰痛を発症して棄権寸前まで追い込まれた昨年のファイナルから、ちょうど1年。実は今大会も腰痛と闘っていた。11月のNHK杯後、大技2発の新構成に変更。ジャンプは何度も繰り返し跳んできたが、腰に負担のかかるスピンはほとんど練習できなかった。6日の公式練習は珍しく約10分も残して切り上げた。ショートプログラムとフリーの両日とも痛み止めを飲んで臨んでいた。コンディションに不安を抱える中、トリプルアクセルに2度挑んだことに価値がある。

 宿命のライバルが戦線復帰したことは知っていた。右足甲を痛めて今季GPシリーズを欠場した10年バンクーバー五輪金メダリスト・キム・ヨナ(23=韓国)が6日、ゴールデンスピンの女子SPに登場。ミスがありながら、浅田の今季自己ベスト73・18点を上回る73・37点をマークした。インターネットの速報の見出しが目に飛び込んできたが、関係者との会話で特別に話題に上がることもなかった。浅田のベクトルが向かう先は、ライバルではなく自分自身。冷静に、フリーに向けて集中していた。

 スケートアメリカ、NHK杯、GPファイナルと今季3戦全勝。スコアも全て200点を超えており、次戦の全日本選手権(21日開幕、埼玉)を前に、ソチ五輪代表入りはもう当確と言っていい。来年2月7日の夢舞台開幕まで、あと2カ月。「フリーはまだまだエレメンツをクリアすることができなかった。一つ一つの試合で、自分に対してチャレンジしていきたい」。得点も順位も、今の浅田は意識していない。満足感に浸るのは、完璧な演技ができた時と決めている。

 ▽ソチ五輪への道 男女ともに日本の枠は3。最終選考会は21日開幕の全日本選手権(埼玉)で、優勝者は代表に決定。2人目はGPファイナル日本人最上位メダリストと全日本の2、3位選手の中から選考。2人目の選考から漏れた選手と、世界ランク日本人上位3人、国際大会のベストスコア日本人上位3人の中から3人目の代表を選考する。今季GPの成績、世界ランク、スコアから見ても、浅田の代表入りは当確だ。

続きを表示

この記事のフォト

2013年12月8日のニュース