アピール合格点も「なぜ今、東京?」明確な答え出せず

[ 2013年3月8日 06:00 ]

報道陣の質問に答える招致委員会の(左から)竹田理事長、猪瀬会長、下村文科相

IOC評価委員会視察最終日

 16年五輪招致失敗の反省を生かした点で、今回の東京は合格点と言えるだろう。前回の現地視察では(1)選手村が狭い(2)改築とされていた施設がほぼ新築のものでウソがあった、などと指摘された。晴海に移した選手村は前回の31ヘクタールから敷地面積は44ヘクタールに拡大。

 さらに、既存施設は本番での使用方法まで提示している。さらに、環境問題へのアプローチの売り込みに不快感があった前回に対し、今回は「アスリート優先」というシンプルさを前面に押し出し、オリンピアン、パラリンピアンを大量投入。これが、評価委に好感を与えた。 

 その一方で、最後まで「なぜ、今、東京?」への明確な答えは出せなかった印象だ。「安全、安心、確実な五輪」と繰り返した東京は、運営力などでは高い評価を得られても、感情的に訴求力はあったか。前回の評価ファイルは、立候補の時点でトップだった東京の「質が高い」に対し、リオデジャネイロが「非常に質が高い」と急上昇している。その“力学”が「南米初」などの感情的な部分によるものなら、苦戦は免れないだろう。

 国際プロモーションの期間がわずか8カ月へと短縮された今回を、16カ月に及んだ前回と単純に比較することはできないが、視察は本格的な招致レースのスタートにすぎない。今後は、投票権を持つ約100人のIOC委員に対し、いかに効率的に働きかけをできるかが勝負。2人の日本人IOC委員がいた前回に比べ、今回は竹田恒和・JOC会長1人という情勢は、決して楽観視できるものではない。

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2013年3月8日のニュース