愛、佳純下しV2「凄くビックリ 凄く大きな自信に」

[ 2013年1月20日 06:00 ]

女子シングルス決勝第4セット、石川(右)を攻める福原

卓球全日本選手権第5日

(1月19日 国立代々木競技場)
 メダリスト対決を制して連覇達成だ。女子シングルス決勝で、福原愛(24=ANA)が石川佳純(19=全農)を4―2で下し、2年連続2度目の日本一に輝いた。昨年8月24日に痛みを抱えていた右肘を手術した福原は今大会が国内復帰戦だったが銀メダルを獲得したロンドン五輪女子団体でともに戦った石川に完勝。大きな自信を手に入れた女王が、5月の世界選手権(パリ)に弾みをつけた。

 大粒の涙を流した昨年の初優勝とは違う。福原のサーブを石川がリターンできずに連覇が決まると、驚きと喜びが入り交じった表情を浮かべた。「まさか今年優勝できると思っていなかったので、凄くビックリ。優勝できたことで、凄く大きな自信になった」。ロンドン五輪銀メダリスト2人による頂上決戦を制した女王は、柔らかく笑った。

 ロンドン五輪を終えた昨年8月24日、痛みを抱えていた右肘を手術。本格的にラケットを握って練習を開始したのは11月に入ってからだった。12月のグランドファイナル(中国)で復帰したものの、初戦で0―4と完敗した。手術後、未勝利で挑んだ今大会は「まず1勝」という控えめな目標を設定。「新しい腕と交換したと思っている」。試合を重ねるたびに感覚を取り戻し、昨年と同じ石川との決勝に臨んだ。

 2―2で迎えた第5ゲームを奪うと、第6ゲームは0―1から6連続得点で波に乗った。「サーッ」の掛け声は決勝だけで93回。「石川さんはロンドンで一緒に戦った仲間なので、思い切ってできる」。5歳年下の宿敵を技術でも気合でも圧倒。練習再開後、1週間が経過しても筋肉痛が残り、右肘の可動域もなかなか戻らなかったが「苦しかったけど、つらかったこと、頑張ったことがうれしいって気持ちに変わった」とまた笑った。

 ラケットを握れない間、自らと静かに向き合った。今後も現役を続け、世界のトップを目指すのか。内なる声に耳を澄まし、結論を導き出した。「“やる”って決めた場合は、普通の練習じゃ勝てない。今まで以上の練習をしないといけないという“覚悟”が必要だった」。どんなに苦しい時があっても、直径4センチのボールを打ち合えば「楽しい」と思える。だから、辞めなかった。再び歩き始めた福原へ。今年のタイトルはきっと、卓球の神様からの粋なプレゼントだ。

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