白鵬“ウルフ超え”54連勝!あとは双葉山だけだ

[ 2010年9月19日 06:00 ]

<秋場所7日目>54連勝を達成した白鵬は懸賞金を手に意気揚々と引き上げる

 横綱・白鵬(25=宮城野部屋)が“ウルフ超え”を果たした。東京・両国国技館で行われた秋場所7日目で小結・稀勢の里(24=鳴戸部屋)を押し出しで下して7連勝。初場所14日目から続く連勝を54に伸ばし、1988年に元横綱・千代の富士(現九重親方)がマークした53連勝を抜いて昭和以降では単独2位となった。54連勝は年6場所制となった58年以降では新記録。年2場所制だった36~39年に双葉山がマークした69連勝まで、あと15となった。

【取組結果


 勝利を決めた瞬間、今場所初めて白鵬の表情が緩んだ。気持ちの高ぶり、重圧を乗り越えた充実感、そして感謝の思い。さまざまな感情が凝縮し、土俵上で思わず笑みをこぼした。

 「どうもありがとうございます。硬さはあったけど、(53連勝とした)きのうで場所前の目標を達成できたので、気楽に取れたように思う。これで千代の富士さんを超えられたし、恩返しができたんじゃないかな」

 歴史的白星の相手は、先場所もっとも苦しめられた稀勢の里。立ち合いで右を差したが、その後の攻防でいなされて足が流れた。今場所初めて満員御礼となった館内からは悲鳴が上がったが「足がそろったけど、すぐに仕切り直した。今場所は下半身が安定していますから」。一瞬で体勢を立て直すと、突き放しといなしを織り交ぜ、一気に土俵外へ押し出した。

 昭和以降単独2位となる54連勝。帰り際には支度部屋を訪れた九重親方とがっちり握手を交わした。偉大な先輩の記録を抜いた白鵬は思わず「すいませんでした」と照れ笑い。九重親方からは「おめでとう。これからも一番一番頑張れよ」と、さらなる連勝記録更新に向けて背中を押された。

 上には、もう“昭和の大横綱”双葉山しかいなくなった。このまま勝ち続ければ、11月の九州場所7日目に69連勝目を迎える。部屋関係者によると、白鵬はその九州場所前に双葉山の生誕地・大分県宇佐郡に出向く予定だという。土俵外がゴタゴタしていても、記録の重圧があっても、平常心で土俵に上がれるのは「双葉山関のおかげです。夢でも相撲を取ったこともあるし、2人にしか分からないものがある」と言うほど双葉山を心酔している。不滅の記録に挑む前に、伝説のルーツを探る旅に出るつもりだ。

 「早いような長いような感じ」と表現した54連勝。朝青龍が引退し、春場所から一人横綱。野球賭博問題に揺れた名古屋場所も乗り越えた。その間1度も負けず、そして1度も周囲に弱音を漏らしていない。「勝とうと思えば負ける。1日1日努力して、土俵に上がることだけですね」。その不動の心がある限り、双葉山超えも可能かもしれない。

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2010年9月19日のニュース