幕切れもドタバタ…村山理事長代行急転続投

[ 2010年7月26日 06:00 ]

<大相撲名古屋場所千秋楽> 協会御挨拶であいさつする村山弘義理事長代行(中央)

 日本相撲協会は25日、愛知県体育館で臨時の理事会を開き、同日限りで退任する予定だった村山弘義理事長代行(73)の続投を決めた。武蔵川理事長(元横綱・三重ノ海)が病気療養から復帰する8月10日頃まで代行を務める。一度は出羽海理事(元関脇・鷲羽山)の代行就任が決定しながらも、今年夏場所中に起きた暴力団関係者の維持員席観戦問題で同理事の対応が問題視され、決定事項が棚上げ。異例ずくめの名古屋場所は幕切れもドタバタだった。

 今場所を象徴するような相撲協会の混乱ぶりだった。高血圧などで東京都内に入院中の武蔵川理事長は、23日に協会No・2の出羽海理事を26日からの理事長代行に指名。理事会もこれを承認していながら、わずか2日でその方針が覆された。

 空転の原因は今年夏場所に起きた暴力団の維持員席観戦問題。特別調査委の山口弘典・前委員が最高顧問を務めるボクシングジム会長が入場券手配に関与。山口氏は協会側の責任者の出羽海事業部長にそのいきさつについて事前に報告を行っていた。しかし出羽海事業部長が、武蔵川理事長への報告を怠っていたため協会幹部の間ではそのことが認知されておらず、山口氏は特別調査委のメンバーに就任。維持員席問題が公になると、23日の特別調査委の会合で山口氏は解任された。

 これを受け24日開催された「ガバナンス(組織運営)の整備に関する独立委員会」(独立委)では、出羽海理事の行動が問題視された。この日の理事会でも、ある理事から「(代行は)出羽海でいいのか?」の疑問の声が上がった。出羽海理事に代わる代行候補には放駒理事(元大関・魁傑)、北の湖理事(元横綱)、二所ノ関理事(元関脇・金剛)らの名前が挙がったが、その度に候補の理事が断り続けた。

 結局、全員が村山代行を推す形となった。そして「正直しんどい」と固辞していた村山代行も最後は承諾した。任期は武蔵川理事長が復帰する8月10日頃まで。村山代行は26日に行われる横綱審議委員会(両国)にも出席するが、出羽海事業部長や謹慎中だった陸奥広報部長(元大関・霧島)、八角同副部長(元横綱・北勝海)らがサポートすることになる。

 千秋楽でお役ご免のはずが一転続投となった村山代行は「24時間国技館に詰めているわけにはいかないが、補助していただく理事の職務分担がしっかりしているので、体制はしっかりしている」と話していた。

 ≪協会あいさつに激励の声≫村山代行は初日に続いて千秋楽も土俵上で協会あいさつを行った。この日はヤジも一切なく「代行!」「頑張れ!」など激励の声ばかり。白鵬ら三役以上の力士を従えた代行は「今場所は幾人かの幕内力士が謹慎しているなど異例の場所ではございましたが、土俵に上がりました新進、古豪の各力士はよく健闘し、白熱した相撲を展開」などと述べた。代行職は続投することになったが「場所をやって良かった。千秋楽も満員御礼だったし、ファンのおかげです」と激務?の15日間を振り返っていた。

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2010年7月26日のニュース