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好調鹿島の強化担当が序盤戦を振り返る「ここ数年と比較すると良い状態」

[ 2022年5月19日 16:00 ]

今季から鹿島の強化責任者に就任した吉岡フットボールダイレクター
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 近年タイトルから遠ざかっている名門・鹿島の強化責任者に、Jリーグ最多20冠という常勝軍団を作り上げた前フットボールダイレクター(FD)の鈴木満氏(64、現強化アドバイザー)の後任として、今季から吉岡宗重FD(44)が就任した。クラブ初の欧州出身監督を迎え、縦に速いサッカーという新たな鹿島を構築すべく挑戦している今季は13節を終えた時点で2位と好位置に付ける。吉岡FDに6年ぶりの国内タイトル奪取に向けてスタートダッシュに成功した序盤戦の印象を聞いた。

 ――13節終わった時点で首位川崎Fと勝ち点1差の2位につける。
 「最近の成績からスタートダッシュは目標にしていました。けが人もいたり、第8節横浜戦(カシマ、0―3)や第12節広島戦(Eスタ、0―3)の負けはありましたが、序盤に勝ち点を伸ばしきれなかったここ数年と比較するとヴァイラー監督は良い状態を作り出してくれているなと思います。攻守にアクションを起こして主導権を握るというヴァイラー監督が新たにやろうとしていることの落とし込みはできていると思います」

 ――クラブ初の欧州出身監督としてヴァイラー監督を招へいした。
 「数年結果が出ていなかったので、ヴァイラー監督に託した一番の理由は勝つため、それだけです。まず選考のフィルターにかけるのはタイトルを獲っているか獲っていないかということ。ヴァイラー監督が過去に指揮したクラブ(ベルギー・アンデルレヒト、エジプト・アルアハリ)でタイトルを獲ってきたということは何かしら勝利に対する経験を持っているということです。ウェブでミーティングしたときに、一つのことにこだわらない臨機応変さ、柔軟さがある監督だと感じました。鹿島が課題として捉えていた攻撃の停滞感を改善する術を持っているとも思います。勝ちにこだわっているという点も鹿島に間違いなく合うと思って、ヴァイラー監督に決めました」

 ――新型コロナの水際対策で来日が遅れたハンデを日本人スタッフで乗り切った。
 「(スイスからの)リモート指導の限界も感じたし、簡単なことではなかったです。チームビルディングに関して、監督は岩政大樹コーチを含めた日本人スタッフに対して「信頼しているから思い切りやってくれ」と言っていた。監督に引き継ぐ段階までしっかりとやってくれた日本人スタッフに対してもすごく評価していますし、監督は来日してからも急に自分のやり方に切り替えるのではなくソフトランディングしてくれた。チーム作りとしてははまったかなと思います」

 ――今季目指している縦に速いサッカーはリヴァプール(イングランド)にも似ている。
 「みんな比較しようとするのはリヴァプールだけど、そこを模倣するわけじゃない。一つのスタイルにこだわらないというのはヴァイラー監督が常に言っていることです。ただ方向性は近く、意識付けとしては前へというところがあります。あえていえば強かったころの鹿島が一番のモデルなのかもしれません」

 ――サッカースタイルの移行期としては順調だといえる。
 「順調かというと…最後にタイトルを獲ったか獲っていないかでしか判断できません。いま順調かと言われたら、判断には早いと思います。13試合を消化しましたが、まだすべてのチームと戦っているわけではない。鹿島対策も取られてきます。そういった意味では、まだまだ成長段階、発展段階のチーム。ここから強くなっていかないといけないと感じています」

 ――勝ち点28。得点21はリーグ2位、失点13はリーグ6位タイ。数字はどうみる?
 「失点は減らしていかなければいけないと思っています。インテンシティ(強度)の高いサッカーをやっているので短い試合間隔でコンディションを作っていくのは難しさはあります。特に広島戦は体が動いていなかった。コンディション調整、気候など条件との戦いも必要になる。失点に関しては改善点も多いです。一部の選手が良くても勝てないのがJリーグだと思うので、チームの底上げは必要になってきますね。あとは、すべてが縦へ速くというだけじゃなく、ゲームコントロールをピッチ内で判断していかないといけない。ゲームのマネジメントという部分では改善の余地があると感じていますし、それができるようになれば失点も当然減ってくると思います」

 ――昨季と今季のサッカーの違いとは。
 「リスクマネジメントの部分ですね。昨季は相手のチャンス構築率というところを見ると、そこまでチャンスを作らせていない。ただ、相手のチャンス、鹿島のピンチでは確実にやられていた。不用意なミスが多く、リスクマネジメントに課題を抱えていた。そこを改善したいと思っていました。強かったころの鹿島は球際が強かった。インテンシティという言い方になるけれど、鹿島では昔からやっていたこと。ヴァイラー監督が来て、球際の強さという鹿島にもともとあったものを呼び起こしてくれたという感覚です」

 ――新加入のMF樋口雄太(25)はリーグ戦全試合に先発出場するなど運動量豊富な選手の補強が当たった。
 「運動量やインテンシティを求める監督だというのは理解していたので、樋口やMF仲間隼斗(30)らをピンポイントでオファーしました。ヴァイラー監督に誰を獲得するというのは報告しましたが、監督からリクエストはなく、我々が判断しました。樋口の能力が高いという形もありますが、本当に良い形で入ってきてくれたと思っています」

 ――約2年半ぶりに復帰したFW鈴木優磨(26)の存在も大きい。
 「(鈴木)優磨は鹿島を勝たせることしか考えていないですね(笑い)。良い意味で勝利を求める“鹿島マインド”が周囲に伝染してきていると感じています。彼がもともと持っているキャラクターもありますが、若手選手にも声を掛けるし、ブラジル人選手たちともすごくコミュニケーションを取ってくれる。得点だけではなく、チームに良い影響を与えてくれていると思っています」

 ――中盤戦以降、タイトルに向けて鍵を握るポイントは?
 「川崎Fと横浜とのアウェーゲームは勝たなければいけない試合になります。2チームは強力ですが、うちの選手も成長している。他チームに何か大きく見劣りしているとは思っていないし、DF関川郁万(21)はすごく成長している。ただ、若手の成長過程では我慢も必要。MF荒木遼太郎(20)やFW染野唯月(20)らパリ五輪世代の奮起、底上げもタイトルには必要になってきます」

 ――夏には補強なども考えているか?
 「いまはまだピンポイントではありません。ヴァイラー監督は選手の能力を見極めている段階で、選手の能力を引き上げることに集中してやってくれている。ただ、他チームも動いている。周りの環境が変わるので、そこでの話し合いもこれからやっていくという感じです。けが人も戻ってくるので、その意味でも見極めは必要になります」

 ――勝負は10月になる?
 「10月は面白い月になると思っています。天皇杯決勝も、ルヴァン杯決勝もある。順調にいけばリーグ戦の優勝争いも佳境に入っている。10月は目白押しです。そこに絡んでいけるように、ここから一つ一つ目の前の試合に全力で取り組まないといけないと思っています」

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