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元日本代表FW佐藤寿人引退 プロという矜持を胸に秘めて駆け抜けた現役生活

[ 2020年12月19日 15:30 ]

J2千葉の元日本代表FW佐藤寿人
Photo By スポニチ

 元日本代表FW佐藤寿人(38)が19日、今季限りでの現役引退を発表した。担当記者として関わったのは、佐藤が19年に古巣の千葉に復帰してから約2年間のみ。しかも今季はコロナ禍で対面取材はできず、言葉を交わした回数は決して多くない。それでも取材一つ、質問への応答一つから“プロフェッショナル”を感じた。

 一を訊けば、十にも二十にもして返してくれた。大きなニュースが出て、感想を求めても、嫌な顔をせずに対応。今年は新型コロナウイルスが猛威を振るって公式戦が中断した。3月に再開再延期の空気が強くなった際には「いつ再開するかは自分たちで決められないし、サッカー界だけでも決められない」としたうえで「スポーツビジネスとしてやっている以上はそこをしっかり考えないと。どう補填していくかも含めて、いろいろ考えないといけない」と苦境に陥る人やクラブへの救済に言及。12年から16年まで日本プロサッカー選手会の会長を務め、「佐藤寿人」という枠を外して思考しているからこそ、一選手を飛び越えたように映る意見も怖がらずに口にした。

 真摯に、そして忌憚のない意見をぶつけてくれるだけでなく、お茶目な面もあった。時には笑顔で、時には白い歯を見せながら冗談を飛ばす。名古屋で同僚だった楢崎正剛氏(44)が19年1月8日に引退を決めた際には「僕はプロ入りからほとんどの年数を楢崎正剛の対戦相手として過ごしていて、どっちかっていうとナラさんのファンからしたら憎い敵として見られていたと思う」と少しの笑顔ととも振り返った。さらに「自分は5こも下の後輩ですけど『いいからやれ』って冗談半分、本気半分で伝えたんですよ」と寂しさを紛らわせるように、少しの笑みとともに率直な思いを語ってくれた。コメントには愛が溢れていた。

 プロという矜持を胸に秘めながら駆け抜けた現役生活だった。記者の奥にサポーターを見据え、「見られている」ということを常に意識し、それでも人間味をなくすことなく向き合ってくれた。記者陣や他の選手に話題を振ると「寿人さんは――」と言葉が次々に出てくる。J通算559試合220得点。積み上げてきた記録は「偉大」のひと言に尽きる。ただ、それに負けず劣らず、記憶に残り続けるプレーヤーだった。(千葉担当・古田土恵介)

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