「次は南を盛り上げたい」小野伸二の言葉から感じた“重み”

[ 2020年7月2日 09:30 ]

19年8月、浦和戦後、札幌サポーターに笑顔で手を振る小野伸二
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 昨年8月10日、J1札幌―浦和戦。試合後に行われた囲み取材で、MF小野伸二(40)は「北が盛り上がったので、次は南を盛り上げたい」と語った。その試合を最後にJ2琉球へ移籍。よくある新天地への豊富だったが、私はその言葉に“重み”を感じた。

 札幌の繁華街すすきので、小野がよく通っていた店がある。「北笑BAR」だ。親交のあったオーナーの丸山草太さんは、北海道のローカル芸人。「アフロンゲ丸山」の芸名でオーナーとの二足のわらじで活躍されており、15年にそのバーで小野らと会食した際、丸山さんから1つの夢を聞いた。

 「笑いで沖縄と北海道を盛り上げたい。いつか沖縄に“南笑BAR”を出す――」。たわいもない会話からだった。札幌が毎年春に、沖縄で行うキャンプの話題から広がった丸山さんの夢。二軒目で完全に酔いが回っていた私だったが、小野が笑顔で聞いていたのが印象的だった。

 だが、その夢は叶わなかった。翌年の4月22日。丸山さんの訃報が届いた。30歳だった。丸山さんの地元で行われた葬儀には、練習の合間を縫って参列する小野の姿があった。地元テレビ局の企画で、丸山さんを自宅に招き入れるほどの仲。小野は静かに手を合わせ、突然の別れを惜しんだ。

 昨年には、当時丸山さんと働いていた従業員が那覇にバーをオープンした。店名は「南笑」。そして、小野は新天地を琉球に選んだ。「この年でオファーを頂けたことに感謝。J1に上げることを目標に、沖縄でも元気な姿を見せたい」。亡き札幌の友人の“夢”も背負って。(記者コラム・清藤 駿太)

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