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J1再開待ちわびる“最高”のピッチ 湘南造園・佐藤主任が振り返る4カ月半

[ 2020年7月2日 05:30 ]

スタジアムの芝をチェックする湘南造園・佐藤光さん
Photo By スポニチ

 まもなくJ1リーグが再開されるが、スタジアムで芝生を管理している人たちも“この日”を待ちわびていた。「いよいよ、と引き締まる思いで楽しみ」と、BMWスタジアム平塚を担当する湘南造園・造園事業部の佐藤光主任(39)は4カ月半を振り返った。

 日本のスタジアムの大半は夏芝をベースに秋になったら冬芝の種をまき、1年間を通して緑色になるようにしている。冬芝は緑が濃くて奇麗で根も強いが、夏は暑さで枯れてしまう。冬芝から夏芝への切り替え時が、担当者の腕の見せどころだ。

 中断が長期化すると予想した佐藤さんは夏芝の根を増やし、強くするために機械を使って根を細かく切った。一時的に芝が茶色くなる危険性もあり、試合をしながらではできない手法。肥料も入れ、夏芝が育ちやすくした。佐藤さんは「芝と本気で向き合えた。やりたいことができた」という。7月4日の再開が決まると、仕上げに入った。芝が育ちにくい梅雨の時季の再開が気になるところだが、根を強くしたことで過密日程にも対処できる。いいピッチは試合の質向上に直結する。

 佐藤さんは芝の質だけでなく、見た目も重視する。試合の数日前に肥料を調整することで鮮やかなピッチになる。刈るのも試合当日、最高の舞台が再開を待ち受ける。

 ◆佐藤 光(さとう・ひかる)1980年(昭55)10月1日生まれ、神奈川県藤沢市出身の39歳。湘南台高から美容専門学校に進んだが、卒業後はフリーの照明技術者に。さらにイベント制作会社勤務などを経て、09年に湘南造園に入社し、グラウンドキーパーに。緑とサッカーが好きだったことが縁。家族は妻と1男。

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2020年7月2日のニュース