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ロンドン金メダルへ、安藤吠える!独3季目で成長実感

[ 2011年11月15日 06:00 ]

デュイスブルクのFW安藤梢

 ドイツでの経験を生かして来年のロンドン五輪で金メダル奪取だ。女子選手で欧州挑戦のパイオニア的存在が、デュイスブルクで3季目を迎えたなでしこジャパンのFW安藤梢(29)だ。12日のバイエルンM戦では今季2点目を挙げた。7月のW杯ドイツ大会では全試合に先発して初優勝に貢献。9月のロンドン五輪アジア最終予選でスタメン落ちしたが、本大会でゴールを決めてその悔しさを晴らしてみせる。

 復活を告げるゴールだった。12日のバイエルンM戦に後半31分から途中出場した安藤は2―1の後半ロスタイムに頭でダメ押し弾。今季は右膝痛に苦しんでいたが、9月24日のフライブルク戦以来の今季リーグ戦2点目で復調をアピールした。

 安藤 ケガは大丈夫です。試合や練習の後に多少動きが良くないことはあるけど、痛みはないし、ケアすれば大丈夫。あと膝の(周りの筋肉を強化する)筋トレを始めた。今は試合も練習も普通にやれている。

 バイエルンM戦の得点はドイツでの成長の証だ。自分より長身のDFに競り勝ってのヘディング弾。10年1月に浦和から移籍し、3季目を迎えたドイツで一番変わったのは“戦うこと”だという。

 安藤 ドイツで一番重要視されるのは戦うこと。相手にぶち当たるとか球際の戦いでひるむのは絶対にダメ。それが当たり前にできるようになってきたと思う。試合前のミーティングでは監督から「吠えて戦え」と言われる。え?吠えろ?って最初は思ったけど(笑い)。戦っていることを示すアピールの一つで、やらないと出られないというのがある。

 大柄なドイツ人選手と、試合だけでなく、練習でも激しくやり合う。

 安藤 今でもビックリするのは、選手が顔面を蹴られて倒れてもみんな心配しない。私も練習中に後ろから一発退場みたいなタックルを食らって足首が凄く痛くなって倒れたことがあるけど誰も助けてくれない。立ち上がってやれ、みたいな感じ。多少痛みがあるのは当たり前というか、我慢できるようになった。

 7月のW杯ドイツ大会で初優勝した後は、チームメートの態度に変化があったという。

 安藤 (以前はドイツ人選手に)自分たちの方が上だというの(意識)があったけど、日本が優勝して、凄くリスペクトしてくれるようになった。(ドイツは五輪出場を逃したので)五輪選手はコズエだけだ、とジョーク交じりに言われたり。

 W杯では全試合に先発して初Vに貢献したが、五輪予選では5試合で先発は1試合だけと悔しさを味わった。また代表では昨年5月のアジア杯中国戦以来ゴールから遠ざかっている。

 安藤 とにかくゴールを決めたい。W杯はゴールがなかったのは残念だったけど、どの試合も楽しんで自信を持ってプレーできた。五輪予選でスタメンじゃなかったのは課題があるから。コンディションが良くない中で力が出せないのがダメだったのだと思う。

 同じドイツのポツダムに所属するFW永里優季は代表でスタメンを争う良きライバルだ。

 安藤 ライバルというか、一緒に頑張りたいというか。永ちゃんが点を取ると凄く刺激を受けるので、自分も負けていられないと思う。ただ自分のプレースタイルで成長したい。

 来年の五輪での目標はもちろん優勝。ドイツでさらに成長してロンドンに乗り込む覚悟だ。
 安藤 もっと自分で勝負して、個で打開できる力をつけたい。ここで成長して、なでしこに帰って、良さを出したい。日本は警戒されるし簡単じゃないと思うけど、だからこそ優勝して日本中みんなで喜びたい。北京五輪で4位になった後、今度は金メダルを目指そうとやってきた。本当に金を獲りたい。

 ▽安藤 梢(あんどう・こずえ)1982年(昭57)7月9日、栃木県生まれの29歳。宇都宮女子高卒業後に進学した筑波大で学業と並行して、02~04年にさいたまレイナス、05~09年に浦和レディースでプレー。02年に新人王、04、09年に得点王とMVPを獲得。なでしこジャパンには99年に16歳で初選出され、同6月の世界選手権(現W杯)のノルウェー戦でデビュー。五輪は04年アテネ、08年北京に出場。国際Aマッチ97試合17得点。1メートル64、57キロ。利き足は右。

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