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金星は必然的だった ザック監督歴史的1勝「まだまだ成長できる」

[ 2010年10月9日 06:00 ]

<日本・アルゼンチン>指示を出すザッケローニ監督(右)

 ザックジャパンが歴史的勝利で白星発進した。アルベルト・ザッケローニ新監督(57)率いる新生日本代表は8日、FIFAランク5位のアルゼンチンを1―0で破る大金星を挙げた。前半19分、MF岡崎慎司(24=清水)が相手GKのはじいたボールに詰めて記念すべきザックジャパン1号を決め、若手中心の守備陣も完封。対アルゼンチン戦は7戦目にして初勝利となった。12日には宿命のライバル韓国と対戦する。

 柔和なイメージの名将が両拳で力強いガッツポーズを繰り返した。前半19分、試合開始からベンチ前に仁王立ちのザッケローニ監督に笑みがこぼれた。縦へ縦へ――。FW岡崎の決めたザックジャパン1号は、わずか4日間の合宿で注入したザック監督の攻撃哲学が体現されたものだ。過去6戦全敗、FIFAランク5位の強豪をデビュー戦で退ける偉業。まさに歴史的勝利となった。
 試合後の会見では無数のフラッシュを気持ち良さそうに浴びた。「アルゼンチンは、世界でもスペインと並ぶ最強チーム。試合のアプローチは緊張しました。選手には1つだけ、勝ちたいのであればチーム力で上回れ!と伝えた。選手は合宿で伝えたものを表現してくれた。ネガティブな要素はノーだ。結果には満足している」。最後まで笑みを絶やさなかった。
 随所にしたたかな観察眼も光った。試合直前までミーティングを開き、徹底してアルゼンチンのビデオを見せた。守備をしないメッシ、テベスの裏に弱点を見つけ、攻撃の狙いを定めた。DF内田が「凄い分析だった」とうなる。試合中もMFダレッサンドロに守備難を見つけると「15番を狙え」と的確に指示。さらに長谷部、遠藤には「右サイドを使え」と伝えた。唯一のゴールはその右サイドから。もはや大金星は必然的だった。
 ベースは堅守でW杯16強入りを果たしたチームと変わらない。だが90分間、センターラインの守備を固め、各選手ともポジションに戻ってからのプレスを徹底させた。その守備がアルゼンチンを苦しめた。「今回、私が以前から抱いていたものが確信に変わった。日本の選手はクオリティーがある。だが、まだ気付いていない選手も多い。まだまだ成長できるよ」。指揮官も自信を深めた。

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2010年10月9日のニュース