【有馬記念】武豊 オジュウと連覇だ!史上初の平地&障害G1制覇へ「見せ場考えています」

[ 2018年12月17日 05:30 ]

<有馬記念>午前4時すぎ、馬場入りするオジュウチョウサン(撮影・村上 大輔)
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 「第63回有馬記念」(23日、中山)で最大の注目を集めるのが、障害界の絶対王者オジュウチョウサン(牡7=和田正)の参戦。史上初の平地&障害G1制覇へ、その鞍上を託された武豊(49)がスポニチ本紙に独占手記を寄せた。オジュウチョウサンにとっては、これまで跳び越えてきたどんな障害よりも高く険しい挑戦。連覇が懸かる名手のタクトが、平成のフィナーレに果たしてどんなドラマを生み出すのか

 世間の注目は、ひしひしと感じていますよ。昨年のキタサンブラックは“ラストランの花道を飾らせたい”という一心でした。今年のオジュウチョウサンもファン投票でキタサンブラック同様に10万票超え。これは凄い。障害当時からのファンに加えて、今年になって応援してくれているファンも多いし、前走(南武特別)も発走前から凄い盛り上がり。関係者も「9Rの特別戦のファンファーレが鳴っただけで、場内が拍手喝采なんて初めて見た」と目を丸くしていましたよ。さらに、今回の挑戦に、テレビ局はドキュメンタリー番組の制作に入っているとも聞きました。周囲の注目度という点では去年も今年も同じですけど、プレッシャーという点では今年は気楽な立場かな?

 オジュウチョウサンは魅力にあふれていますよ。走りでいえば、ステイゴールド産駒らしい体の柔らかさ。首の低いフォームで、本当に障害を走っていたの?と思ってしまいます。ただ、最大の魅力は底辺からはい上がった反骨精神と、新たなステージへのチャレンジ精神でしょう。何せ平地でデビューして11、8着。1年の休養を経て、障害に転向後もすぐに素質が開花したわけじゃない。それが障害界では無敵の王者まで上り詰めて、その座に甘んじることなく、平地に再転向。そこでも2連勝して、ついに有馬記念へ。まるで漫画みたいなストーリーじゃないですか。

 今回は乗りたい馬が他にもいました(主戦のクリンチャー、マカヒキ)。ただ、体は一つしかない。悩みに悩みました。最終的に心が動いたのはファンの“声”。投票3位の事実は重い。そう考えて決断しました。

 少し脱線しましょうか?野球ではメジャーで活躍した大谷翔平選手(エンゼルス)が打者と投手の二刀流。オジュウチョウサンも平地と障害の二刀流ですが、“走る”という意味では変わりないと僕は思っています。僕が障害の免許を返上したのはデビューから5年目くらいかなあ。一度も障害レースに乗ったことはないけど、1年目に調教で障害を跳んだことがあって、結構うまかった。“天才”だったかもしれない(笑い)。

 レースのイメージですか?ジャパンCのアーモンドアイの勝ち時計(2分20秒6=東京芝2400メートル)とオジュウチョウサンの前走(2分25秒0=同)を単純に比較すると、5秒も違う。競馬界ではよく1秒=6馬身(14・4メートル)と言われるから、仮にアーモンドアイと対戦したら、約30馬身も遅れてオジュウチョウサンがゴールすることになる…。どんなレースができるか、正直、まだイメージできないですね。ただ、どうすれば見せ場を演出できるか、は必死に考えています。

 ◆武 豊(たけ・ゆたか)1969年(昭44)3月15日生まれ、滋賀県出身の49歳。父は故武邦彦元調教師。87年騎手デビュー。同年69勝を挙げ、当時の新人最多勝利記録をマーク。以後、全国リーディング首位18回、歴代最多のG1通算75勝。JRA通算2万1387戦4018勝(16日現在)。日本騎手クラブ会長も歴任。1メートル70、51キロ、血液型O。妻は元アイドルの佐野(旧姓)量子夫人。

 ▼オジュウチョウサンの馬名由来 オーナーである長山(ながやま)尚義氏の次男が幼少期に「俺」と言おうとして、うまく発音できずに「オジュウ」と言っていたのが由来。「チョウサン」は長山オーナーの昔からのあだ名。自身の会社も(株)チョウサン。

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