【有馬記念】オジュウ長山オーナー こだわりの血統で夢実現

[ 2018年12月17日 05:30 ]

オジュウチョウサン 半端ない挑戦(1)

“二刀流”と記した有馬記念のオジュウチョウサングッズに同封するカードのデザイン画を持つ長山尚義オーナー
Photo By スポニチ

 無謀か、英断か――。オジュウチョウサンの有馬記念参戦は、競馬界でも賛否両論を巻き起こしている。一方で、ファンは夢とロマンを求めた挑戦に拍手を送る。現役障害最強馬が「二刀流」にかじを切った異例の背景に迫る全7回の大型連載「オジュウチョウサン 半端ない挑戦」。第1回は馬主の長山尚義氏(73)の直撃インタビュー。全ては同オーナーの「決断」「夢」「信念」から物語は始まった。

 ――有馬記念のファン投票は10万382票で3位。いよいよ夢の舞台への扉が開いた。

 「中間発表でこれは1位になるんじゃないかと思ったよ。大変ありがたい。特別で難しいと言っていたら有馬なんて言えないので、前走(南武特別)は負けると思ってなかった。武くんも工夫して乗ってくれた。突き抜けて勝ってもよかったが、ハナに立ってから追わずに後続を待って、ブラックプラチナム(2着)が来たら追った。俺流の考えだけど有馬のために脚を計ったんだと思う」

 ――有馬の勝算は?また、ライバルについて。

 「自分の馬を信じているからライバルはいない。単勝100万円くらい買おうか(笑い)。武くんも“大障害で上がり36秒台は凄いし、なぜあんなに背中が沈む低い走りで大障害を跳べるのか不思議”と話していた。心肺機能の高さと、一完歩の大きさがそれを可能にしているが、それほどにオジュウは特殊。一流どころと勝負したいと思わせる。心肺機能が半端なくて止まらないのがいいところだから中山は合う。また、武くんとも手が合う。好位から3〜4角でかぶせていって体力勝負に持ち込む。キタサンブラックのように二枚腰を使ってくれれば」

 ――クラブ馬主で初めて持ったサッカーボーイからこだわってきた血統で夢が実現。

 「ディクタスとノーザンダンサー。血統を調べたのは、ギャンブルが好きで何が強いのか法則や根拠がないかと思ったのがきっかけ。学生時代から5万円近くする血統本を買って研究した。車が80万円の時代にね。有馬にもう1頭、所有馬のパフォーマプロミスが出る。この馬も3歳最後のスーパー未勝利を勝ち、ギリギリで残ったドラマがある。オジュウと同じ父ステイゴールド」

 ――オジュウの母のシャドウシルエット(父シンボリクリスエス)を繁殖牝馬セールで購入した理由は。

 「所有馬のパーフェクトジョイは父がステイゴールドで5勝を挙げた。その妹であるシャドウとステイゴールドは好相性だと考えた。血統だけで選んだが、外れるわけがないという信念があった」

 ――信念を貫き通したことが有馬へとつながった。

 「平地未勝利の落ちこぼれのオジュウが障害に回り、はい上がって皆さんには予想外の“二刀流”に。夢とロマンがある。有馬で3着以内に入れば、この決断は間違いじゃなかったって言えると思う。来年はドバイ、宝塚(記念)、凱旋門賞。そしてオジュウをシャトル種牡馬にして海外にも血を広めたい。そんな夢を持っている。前へ前へ進むだけ。夢に後ろはないからね」

 ◆長山 尚義(ながやま・なおよし)1945年(昭20)5月25日生まれ、東京都港区出身の73歳。JRA馬主である株式会社チョウサンの代表取締役。社名、冠名である「チョウサン」は名字に由来する。一口馬主では最初に持ったサッカーボーイを筆頭にステイゴールド、牡馬3冠のオルフェーヴル、牝馬3冠のジェンティルドンナなどを所有。競馬以外の趣味は株とゴルフ。

続きを表示

この記事のフォト

2018年12月17日のニュース