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【1987年8月】マリオネット/やり残したことはただ1つ 1位獲得で解散への道へ

[ 2011年8月30日 06:00 ]

 ★87年8月ランキング★
1 マリオネット/BOOWY
2 アマリリス/渡辺美奈代
3 Nile in Blue/菊池桃子
4 -3℃/ゆうゆ
5 50/50 中山美穂
6 Somebodys Loves You/BaBe
7 君だけに/少年隊
8 大人はわかってくれない/立花理佐
9 命くれない/瀬川瑛子
10 WANDERER/チェッカーズ
注目北の旅人/石原裕次郎
※ランキングは当時のレコード売り上げ、有線放送、ラジオ、テレビのベストテン番組などの順位を参考に、話題性を加味してスポニチアネックスが独自に決定。

【マリオネット/BOOWY】

 6枚目のシングルにバンドメンバー4人の進むべき道が決まることになっていた。

 メジャーシーンに立ってから6年。バンドとしての理想というパズルがあるとすれば、あと数ピースで完成する域まで達していたが、氷室京介、布袋寅泰、松井恒松、高橋まことの4人はあと1つ達成していないことがあることに気がついた。

 アルバムのレコード売り上げ1位、コンサートホールも満員にし、チケットが即完売ということも珍しくなくなったBOOWYがやり残していたこと、それがシングル盤1位の獲得だった。その最後の目標をクリアすべく、87年7月22日にリリースされたのが「マリオネット」だった。

 売れ線のキャッチーなメロディー、ロック色も濃く、夏場の発売を意識してノリも良かった。加えて4人がこだわったのはイントロ。ここで聴き手を惹きつけることに何より重点を置いた。

 意図したことは全て当たった。「マリオネット」はオリコンチャートで2週連続1位に輝いた。これでBOOWYというバンドの壮大なパズルは完成した。バンドとしてやれることの最高点を全て極めた彼らの次の道は解散。それぞれの新しい道を切り開くことだった。

 「マリオネット」に続き、バンドとしてのラストシングル「季節が君だけを変える」を10月に発売すると、12月24日、コンサートツアー最終日の東京・渋谷公会堂でファンの前で解散を宣言した。ファンにとっては突然だったが、4人の中ではアルバム「BEAT EMOTION」をリリースした86年11月から1年かけて考え続けてきた結論だった。

 客席に人がおらず閑古鳥が鳴くようなステージで歌い、ゲームセンターなどでバイトをしながら音楽活動を続け、中古のハイエースに機材を積み込み、1泊1000円という信じられないような安い宿に止まりながら全国を回ったこともあった。それが押しも押されぬ超が付く人気バンドになった。

 この人気を維持し、もっとビッグになっていく、という選択をこれまで多くのバンドがしてきたが、4人は違った。解散の理由は諸説あってどれが正しくて、どれが違っているとは一概には言えない。ただ、「もうやれることはすべてやった」という感覚は4人とも共通していたようだ。

 「ファンに親切ではなかったので最後はサービスのつもりで」として行った、88年4月4、5日の東京ドーム公演。10万枚のチケットをめぐって、都内の電話回線はパンクするし、プレイガイドでは列の並びをめぐって殴り合いのケンカにまで発展。人気絶頂で解散したBOOWYは、社会現象にまでなり、そして伝説となった。
 
 

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