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【1978年8月】林檎殺人事件/郷ひろみ・樹木希林 ザ・ベストテンをジャック!?

[ 2011年8月23日 06:00 ]

 ★78年8月ランキング★
1 モンスター/ピンク・レディー
2 Mr.サマータイム/サーカス
3 林檎殺人事件/郷ひろみ・樹木希林
4 銃爪/ツイスト
5 ヤマトより愛をこめて/沢田研二
6 飛んでイスタンブール/庄野真代
7 ジョニーの子守唄/アリス
8 夏のお嬢さん/榊原郁恵
9 シンデレラ・ハネムーン/岩崎宏美
10 かもめが翔んだ日/渡辺真知子
注目勝手にシンドバッド/サザンオールスターズ
※ランキングは当時のレコード売り上げ、有線放送、ラジオ、テレビのベストテン番組などの順位を参考に、話題性を加味してスポニチアネックスが独自に決定。

【林檎殺人事件/郷ひろみ・樹木希林】

 78年8月24日放送のTBS「ザ・ベストテン」。その個性派女優は、司会の黒柳徹子そっくりの風体で、ミラーゲートから堂々と登場した。

 3週連続の1位に輝いたのは人気アイドル歌手郷ひろみと女優の樹木希林の異色コンビが歌う「林檎殺人事件」。毎週、樹木が違った衣装で出演し話題を呼んでいたが、ついに“玉ねぎ頭”までマネて出てくるとは…。郷も黒柳と組む久米宏の衣装である、白のタキシードを着て、完全に番組をジャック。夏休みで多少の夜更かしが許されていた子供たちは大爆笑。大人も笑わずにはいられないほどよく特徴をつかんでいた。

 人気ホームドラマ「ムー一族」の挿入歌、というよりはドラマの筋とほとんど関係なく、エンディング近くになるとまるで歌のコーナーがあるかのように、簡単な掛け合いの後カラオケが流れ、主役の足袋屋の息子で浪人生の拓郎(郷)と、アフロヘアのようなモジャモジャ頭の家政婦「金田さん」(カネダではなく、カネタ)の2人が歌い出すといった具合で、前年77年の「ムー」の中でも「お化けのロックンロール」が歌われ、それを続編でも踏襲した形になった。

 6月21日にリリースし、子供たちが夏休みに入った頃からランキングが急上昇。レコード売り上げは32万枚だったが、「ザ・ベストテン」では、8月中の4週連続1位。2人の全く合っていない振り付けがまた笑いを誘った。ちなみに作詞はあの阿久悠。引き出しの多さに感心するばかりである。

 樹木希林はもちろん本名ではないが、この時名前を変えてまだ1年ちょっとだった。それまで悠木千帆を名乗っていたが、日本教育テレビがテレビ朝日に改名するのを機に放映された番組に出演した際、悠木が自分の持っているものを今風で言えばオークションにかけることになったが、売るものが何もないと芸名を“出品”。知人の飲食店店主が2万200円で落札した。

 実は芸名を売ることで、密かに女優引退を考えていたという。ところが、希望者が殺到したことで「こんなに私の名前に価値があるのなら」と女優を続ける気になったと、当時の取材には答えている。

 樹木希林は深夜に1人で考えて決めたとか。「木がたくさん集まって、希(まれ)な林になる。人は一人では大したことがないけど、たくさん集まれば何かが生まれ育つ」という意味が込められているという。

 言わずと知れた“ロックンクンローラー”内田裕也の妻。若い頃はロックのステージにも上がっていた。

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