藤井聡太が天下統一!最年少21歳2カ月で全8冠独占 タイトル戦“無敗”で最多タイ19期連続にも王手

[ 2023年10月12日 04:30 ]

王座戦を制した藤井八冠(撮影・須田 麻祐子)
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 藤井聡太王将(21)=竜王、名人、王位、叡王、棋王、棋聖含む7冠=が永瀬拓矢王座(31)に挑む第71期王座戦(日本経済新聞社主催)5番勝負第4局は11日、京都市のウェスティン都ホテル京都で指され、後手藤井が138手で勝利した。対戦成績3勝1敗で初の王座を獲得し、棋界の全8冠を史上初めて独占した。全冠制覇としては全7冠だった96年の羽生善治九段以来27年ぶり。角換わりから永瀬の研究手順を打ち破った。

 勝利を悟った藤井は前だけを見つめた。午後8時59分。失着を指した永瀬が背後を向き、両手で頭をかきむしる。そして「負けました」。新8冠は心を乱すことなく、より長くこうべを垂れた。

 「結果はよかったが、それに見合う実力があるかと言われたら、まだまだ。引き続き、実力をつけることが必要と思う」

 持ち時間5時間の王座戦。昼食休憩時、永瀬の消費時間21分に対し、2時間48分を使っていた。永瀬の準備に苦しんだ。日本将棋連盟による棋譜中継のAI評価値は長く永瀬優勢で進み、97手目で62―38と藤井が逆転。104手目で40―60と再逆転されたが、123手目[先]5三馬で0―100から98―2へ再々逆転した。

 14歳の中学生でプロ入りし、わずか7年で全8冠を独占した。将棋界のタイトル独占は1996年に羽生善治九段(53)が7冠時代に達成して以来27年ぶり4人目。17年度、叡王戦が8冠目へ昇格してからは初めてだ。21歳2カ月での8冠は羽生の7冠達成時(25歳4カ月)より4歳以上も若い。さらに羽生がタイトル戦の敗北を何度か経験しながら樹立したのに対し、藤井は20年の初タイトルから失敗なく到達。将棋界400年の歴史を塗り替える偉業と言える。18年7月の8冠を8人で分け合う戦国状態から5年余りでの天下統一となった。

 「全冠という部分では羽生先生と並ぶことができた。でもその後も、長く活躍されている。自分も息長くできるようになりたい」

 タイトルの通算獲得を歴代7位の18期とし、大山康晴15世名人の歴代最多19期連続獲得へも王手をかけた。ただ、羽生はその約5倍、99期を誇る。

 まだ満足はしていない。第71期ALSOK杯王将戦7番勝負(本社主催)を制し、5冠になった昨年2月。対局会場から望む富士山で自身の到達点をたとえ「森林限界の手前」と表現した。この日、改めて聞かれ「結果では、当時より残せていても実力では課題が多い。頂上が見えることはない」と語った。

 環境に順応し、成長を遂げる21歳。1強へ待ったをかけようと、包囲網を敷く周囲をしのぐ躍進を示した。“不敗神話”はまだまだプロローグに過ぎない。


 ◇藤井 聡太(ふじい・そうた)2002年(平14)7月19日生まれ、愛知県瀬戸市出身の21歳。杉本昌隆八段門下で、12年にプロ棋士養成機関の奨励会入会。16年10月に、史上5人目の中学生、最年少の14歳2カ月でプロ入り。18年には中学生で初の棋戦優勝。同年に瀬戸市民栄誉賞を第1号として受賞。20年、最年少で初タイトルを獲得した。

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