藤井聡太2冠 王将戦挑戦者決定リーグ返り咲き決定 10代ラストイヤー、目指すは年度内6冠!

[ 2021年8月16日 20:07 ]

<王将戦2次予選決勝>対局を振り返りながら感想戦を行う藤井聡太2冠(撮影・長嶋 久樹)
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 将棋の藤井聡太2冠(19)=王位、棋聖=が16日、大阪・関西将棋会館で第71期ALSOK杯王将戦(本社主催)の2次予選決勝に臨み、稲葉陽八段(33)に106手で勝利した。3期連続3回目の挑戦者決定リーグ進出を決めた藤井は、前期のリーグ陥落からのダイレクト復帰。さらに、年度内6冠への道も切り開いた。

 将棋盤を前に珍しく苦笑いした。逆転勝ちだったのかと問われ「対局者が意識することではないので」。勝てばなお、感情を外へ出すことのない19歳は「前期で陥落してしまいましたが、また上を目指すことができればと思う」。過去2年、挑戦権をつかめなかったリーグでの戦い。三度目の正直への意欲を穏やかな言葉で示した。

 形勢の針が両者間を行き来する終盤、詰将棋解答選手権5連覇の終盤力で抜け出した。終局後、藤井自ら手応えある一手として挙げたのが、稲葉の馬2枚ににじり寄られた土俵際、自陣へ打ち付けた銀。守りの強手だった。馬を撃退する当初の目的以外に最終盤、上部脱出を狙った稲葉王を押し止める要の駒になった。

 「はっきり負けかは分からないが、まずい流れになったかなと。結果的に強く指していくことができた」。当時残り27分の稲葉に対して藤井は2分。即断即決の指し手の効果に手応えを得た。

 進出を決めた、7人で争う挑戦者決定リーグ。前期の7番勝負敗退者と上位3人がリーグ残留、下位3人が陥落する。前期、開幕から3連敗した藤井は、残り3局を全勝して3勝3敗としたが、同成績の広瀬章人八段が順位1位だったため3位の藤井が涙をのんだ。

 年度内6冠への可能性をつないだ。豊島将之竜王(31)=叡王との2冠=とのダブルタイトル戦の最中にある王位戦7番勝負、叡王戦5番勝負は共に2勝1敗とリードする。竜王戦は挑戦者決定3番勝負に進出し、挑戦権獲得までマジック1。年内に決着する3棋戦を制すると4冠になる。さらに王将戦、そして32人のトーナメントで挑戦権を争う棋王戦までとなると年度内に6冠となる。

 ダブルタイトル戦で全国を巡る日々はもちろん初体験。「体調は問題ないのかなと思います。手洗い、マスクの着用。感染対策はやるようにしています」。1敗が命取りとなるトーナメントを抜け、充実の10代ラストイヤーが広がっている。(筒崎 嘉一)

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