伊藤沙恵女流三段「現状維持しているつもりではダメ」 悲願達成見据え強く柔らかく

[ 2021年8月16日 18:22 ]

伊藤沙恵女流三段
Photo By スポニチ

 将棋の伊藤沙恵女流三段(27)が都内のスタジオで行われたABEMAの番組収録に参加した。今年度16勝6敗で勝数・対局数ランキング1位、さらに公式戦は7連勝中。好調の基を聞いた。

 トップクラスの高い壁、ベテランの活躍に若手の台頭。どの世界にも共通する三図だが、女流棋界もこの数年間で静かに大きく勢力図が変動した。里見香奈女流4冠と西山朋佳女流3冠の「令和2強」による絶対女王争い。2020年にはレジェンド級の中井広恵女流六段が史上最年長でタイトルに挑戦するなど存在感を示す。若手の活躍も目覚ましい。

 強く、柔らかく。「常に進化が求められています。現状維持しているつもりではダメで、その意識では現状を維持できない。そのことをここ数年強く感じるようになりました」。世代の層で中堅に位置する伊藤は、冷静に自らの立ち位置を分析する。

 20歳でプロ入りし、今年で7年目。通算成績で勝率7割超と高いレベルをキープしている。

 「以前は実戦が主で、勉強と言えばとにかく指していくやり方でした。コロナ禍の状況下で、オンライン(対局)というやり方もありますが、個人でやっていく方法で将棋に取り組んでいます」

 ひとり集中的に研究を進める中で、今年4月には自身8度目のタイトル戦の挑戦権を獲得。西山を相手に挑んだマイナビ女子オープン、結果はフルセットでの敗退となった。「応援して頂いている方々の期待に応えたい一心でやってきたのですが、なかなか応えられない状態で情けないなと思っています。いつかそんな日が来るようい精進していきたいと思っています」。自分に言い聞かせるようにゆっくりと深くうなずいた。

 「私は先のことを考えるのが得意ではないので、まず目の前の一局に対してどのように立ち向かうのか、どんな作戦にするのか、一局一局こなしていく感じですね。トップの方々は底知れない努力をされていると思うので見習いつつ、若手の勢いも吸収しつつ、良い部分を取って自分も延びていきたいと思っています。その結果がついてくれば嬉しいなという感じですね」

 ファンの声援を背に受け、念願のタイトル獲得の日はすぐそこまで迫っている。

続きを表示

2021年8月16日のニュース