日曜午後に存在感 フジ「ザ・ノンフィクション」の魅力 語り最多・宮崎あおい「全部さらけ出されている」

[ 2021年4月18日 07:20 ]

フジテレビ「ザ・ノンフィクション」放送1000回SPのナレーションを務める宮崎あおい。番組最多36回目の語りとなる
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 1995年10月にスタートし、日曜午後に存在感を放つフジテレビのドキュメンタリー「ザ・ノンフィクション」(日曜後2・00)は18日、節目の放送1000回を迎える。女優の宮崎あおい(35)が先週11日(999回)と2週にわたる「放送1000回SP」(前編・後編)のナレーションを担当。18歳の時の初挑戦から最多36回目の語りとなる宮崎が番組の魅力を語った。

 「放送1000回SP」は四半世紀を超える番組の歴史を振り返りながら「『ザ・ノンフィクション』は何を描いてきたのか?」を検証。11日に放送された「前編」は、日本人メジャーリーガーの“パイオニア”野茂英雄氏(52)を取り上げた記念すべき初回(1995年10月15日)から、90年代、2000年代の番組の歩みをたどった。折しも“平成の大不況”と呼ばれた時代。97年9月の「借金地獄物語」は、日曜午後としては異例となる番組最高視聴率15・9%(ビデオリサーチ調べ、関東地区)をマークした。

 18日に放送される「後編」は、11年3月11日の東日本大震災以降に放送された回を振り返る。ある日突然、大切な家や故郷、愛する人の命を奪われるという現実は、日本人の価値観を大きく変えた。日本中が悩み始めた時、番組が目を向けたのは「自分らしい生き方」を追い求める人々だった。

 そして、20年には新型コロナウイルスの感染拡大。「人生に大切なもの」の優先順位が大きく揺らぐ中、その時代を生きる人々の「心」を描き続けてきた。

 ダウン症の子どもを持つ家族を17年にわたって追った「ピュアにダンス」シリーズ、山奥で自給自足の生活をする父と6人の子どもを18年にわたって追った「われら百姓家族」シリーズなど、長期間の映像記録も長寿番組だからこそ可能になる大きな特徴。寺で共同生活を送る熱血和尚と傷ついた子どもたちを11年にわたって記録した「おじさん、ありがとう」は国内外で数々の賞に輝く感動作となった。

 <宮崎あおいコメント>

 ――18歳の時に初めて「ザ・ノンフィクション」のナレーションを読んだ時の気持ちは?

 「ナレーションの経験もあまりなかったので、緊張していたのを覚えています。ブースの中にいても、外にいるプロデューサーさんの声がものすごく聞こえていたんです。マイクの前にいるディレクターさんが指示を出しているのではなく、その後ろにいるプロデューサーさんが指示を出していました」

 ――ナレーションを担当した回で最も印象に残る回は?

 「ホストの方たちの回は、自分が普段見ることのない世界の方たちのお話でしたし、シリーズだったこともあって、印象に残っています。後半に出てきた新人のホストの方とのやり取りで、お部屋に置いてあった着ぐるみを投げたんです。映画やドラマで、もしそれをしたら『わざとらしいからやめておこう』と言われてしまうようなことだったのですが、『リアルって、こういうことなんだ』と思った記憶があります。そして、その後いろいろ大変なことが起きたんですよね。人生って、さまざまなことが起こるんだなというのを長い期間にわたって追わせてもらったので、このシリーズはとても印象的でした」

 ――番組を通して、知らない世界や価値観に出会うことも多かったですか?

 「私はシンプルにこの番組のファンなので、今、収録を終えたのですが、心の中が忙しかったです。今まで声のお仕事をさせていただく時、無意識のうちに、その物語に寄り添ってナレーションを読ませてもらっていたというのを改めて実感したんです。その1つ1つに寄り添うことに忙しかったので、読んでいてもフワーッと、その気持ちに入っていくのだけれど、またすぐ違う気持ちに入っていかないといけないのが、今回の総集編で、ものすごく贅沢でもあり、大変なことでした。自分が読んでいて泣いてしまうこともありましたし、自分が関わっていない作品で感動したり、学んだりすることもたくさんあったので、すごい番組だなと改めて思いました」

 ――ドキュメンタリーのナレーションはご自身にとって、どのような意味を持っていますか?

 「声のお仕事は私にとって、とても大切で、楽しいものです。『ザ・ノンフィクション』が声を掛けてくださったからこそ、他の声のお仕事にも呼んでいただけるようになった、私のスタート地点だと勝手に思っています。なので自分にとって、とても大切な時間ですね」

 ――演技のお仕事とは、また違いますか?

 「違いますね。映っている方が主役なので、いかに邪魔をしないようにできるか、気を付けて読んでいます。自分が見ている時に、ナレーションが気になってしまうと、物語に集中できない時があるんです。そうならないように、でも、きちんと伝えるべきところを気持ちよく、皆さんに届けることができるようにと、考えてしています」

 ――あらためて「ザ・ノンフィクション」をどのような番組だと感じていますか?

 「ファンなんです。きっと映っている人も、その人たちを撮っている人も、みんな真剣で、その真剣さを映像から感じるからこそ見ている時に心が揺さぶられるのではないかと思っています。人間の良いところもカッコ悪いところも、全部さらけ出されているのが面白いし、それが人間だと思うから夢中になってしまう気がします。世の中や環境が変わっていくと、感じ方も変化していくので、その変化も含めて面白いなと思いますね」

 ――今回の「放送1000回SP」の見どころは?

 「いろんな方のナレーションをギュッと、たくさん見られたのも個人的には面白かったです。過去のダイジェストではなくて、全部を見たい回もたくさんありました。もちろん、これまで『ザ・ノンフィクション』を見てこられた方もご覧になると思いますが、初めてこのスペシャルを見た方も、きっとこの番組をこれから見続けようと思われるのではないかと思いました。本当に面白かったんです。私も長くこの番組を見ていきたいので、大変な時代になってきたし、密着するのもなかなか難しいでしょうけど、頑張ってください。これからも一ファンとして応援していきたいと思います」

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