【広瀬八段の目】藤井七段、終盤まで互角も…「持ち時間の差」が勝負を分ける

[ 2020年7月10日 05:30 ]

広瀬章人八段
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 ほぼ互角で終盤を迎え、最後は持ち時間の差が大きかった。終盤力に秀でた藤井七段相手に、渡辺棋聖が正確に指し切れた要因でしょう。

 思い切りよく指し進めた渡辺棋聖はその精度と同様、持ち時間の差だけはキープしようと意識したのだと思います。そしてある種の開き直り。

 2敗してもう後がない。角換わり腰掛け銀は藤井七段の得意だからこそ、受けて立った。手損こそしましたが好形を維持しつつ、藤井七段の仕掛けを待ち構えた。渡辺棋聖が作戦をしっかり練ってきたことが、第4局以降の突破口になるかもしれません。

 王将戦では先に王手をかけましたが最後の2局、あと1勝から底力を見せられた。特に第6局はこちらにチャンスが多い将棋だった。一流棋士特有の開き直り。棋聖戦第3局も心境としては似ていたのではないでしょうか。

 第4局は渡辺棋聖が有利な先手です。渡辺棋聖の用意に藤井七段がどう対応するか。第3局のような周到な準備があるのかに注目しています。

 ◆広瀬 章人(ひろせ・あきひと)1987年(昭62)1月18日生まれ、札幌市出身の33歳。勝浦修九段門下。竜王と王位を合わせタイトル獲得通算2期。渡辺とは1~3月の王将戦で対戦し3勝4敗。藤井とはその王将戦挑戦者決定リーグ最終局で対戦し、逆転勝ちで挑戦権を獲得。

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