「世界は3で出来ている」名匠が語る林遣都の魅力「実は器用なのに不器用に見える」1人3役も「委ねた」

[ 2020年6月11日 06:00 ]

“ソーシャルディスタンスドラマ”「世界は3で出来ている」に主演し、1人3役に初挑戦した林遣都(C)フジテレビ
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 俳優の林遣都(29)が11日に放送されるフジテレビの単発ドラマ「世界は3で出来ている」(後11・00~11・40)に主演し、1人3役に初挑戦。今作唯一の出演者で、緊急事態宣言解除後に再会した一卵性三つ子を演じる。林は同局の名匠・中江功監督(56)が演出したフジテレビ開局60周年特別企画「教場」(今年1月4~5日)、脚本家の水橋文美江氏(56)が朝ドラに初挑戦した昨年後期のNHK連続テレビ小説「スカーレット」に出演。今作は演出・中江監督、脚本・水橋氏と“トライアングルタッグ”を組んだ。「眠れる森」「空から降る一億の星」「プライド」「Dr.コト―診療所」「ようこそ、わが家へ」など数々の名作・ヒット作を生んだ中江監督が撮影秘話や林の魅力を明かした。

 同局は今作を「リモートドラマ」には括らず、リモート会議と“3密”を避けるなど安心安全な撮影を徹底した「ソーシャルディスタンスドラマ」と命名した。

 林が演じるのは商事会社勤務・望月勇人、会計士・望月泰斗、茨城在住の農園経営・望月三雄。29歳の一卵性三つ子。勇人は子供の頃から明るく、すべてノリで生きてきたお調子者。今の会社も亡き父のコネで入ったが、入社して早7年。さすがに仕事はノリやコネだけで乗り切れない。自他ともに認めるポンコツで、会社を辞めたいとさえ思っていたところに緊急事態宣言が発令された。テレワークやオンライン会議など仕事環境が一変したこの3カ月。落ちこぼれのサラリーマンの勇人は一体どうなったのか。宣言が解除されたある日、勇人を案じた兄・泰斗と弟・三雄が引っ越したばかりの勇人のマンションを訪ねる…。

 撮影は東京・台場の同局・湾岸スタジオにセットを組み、3日間。中江監督は「1人3役というのは、あまり意識しませんでした。3人の役者がいると思って撮っていました。現場はいつもよりスタッフがかなり少なかったのですが、逆にコミュニケーションが取れてよかったです。とにかく密にならないように注意しました」と振り返った。

 林への演出は、各シーンの立ち位置やシチュエーションを説明した程度。現場に入る前は「特に何も言いませんでした」といい「こういう3役をやるにあたって本人がどう(演じ)分けてくるだろう、というのを楽しみに見ていました。細かいことは言わず、ただただ林遣都の芝居を楽しみました」と委ねた。劇中“ある決めポーズ”が登場するが「これも本人に任せました。(林が)当日やるので見てください、ということで、こちらも丸投げしました(笑)」。林との信頼関係が伝わった。

 3兄弟のビジュアルは当初、髪形・メイク・小道具などを使い、異なる外見にすることも考えたが「そこがやりたいことではないので、大きく変えることはやめました。三つ子ですし。衣装が違うくらいで、他は特に変えませんでした」。ビジュアル面は事前に林とも確認し合った。

 今年の正月ドラマとして放送された、警察学校を舞台に人間の心理をえぐる究極のミステリー「教場」は俳優の木村拓哉(47)が主演。冷徹な教官・風間公親(きみちか)に扮し、役者人生初の白髪姿は放送前から大反響を呼んだ。訓練生役には若手実力派が集まり、林はその1人・平田和道を演じた。

 昨年12月18日に行われた完成披露試写会。「素晴らしい原作、計算された脚本、計算できない役者、素晴らしいスタッフに恵まれて楽しめました」という中江監督の言葉が印象的だった。「計算された脚本、計算できない役者」とは――。

 「生徒役の役者さんたちは今回ほぼ初めまして。だから、非常に新鮮でした。一例を挙げれば、林君の“キャラ変”は予想以上で、途中でセリフも少し変えてしまったぐらい。彼のことは、もう大好きになりました。台本通り演じたとしても、その人の個性が出るところを、今回は特に実力のある人たちが揃って、当たり前と言えば当たり前のことですが、どうすれば自分の役が生きるか、こちらが思うより一生懸命考えてチャレンジしてくれてきたので、それは凄くおもしろかったですよね」

 林が“怪演”した「教場」のキャラクターは早々に退校したため「少ししか一緒にできませんでした。今回はもっと役者・林遣都を見たくて、お願いしました。期待通り、別の顔も見ることができましたし、もっと他の顔も見たくなりました。(3兄弟)それぞれの役の立ち方、声、話し方、ほとんど本人のアイデアです。普段はこだわりがあるのに、主張しないタイプだと思うので、とにかく彼に委ねました。実は器用なのに不器用に見える、本当に魅力的な役者です」と一層、惚れ込んだようだ。林との次回作があるとしたら?と水を向けると「今回やった次男(勇人)のような、不器用な男のラブストーリーをやってみたいですね」と企画案を語った。

 最後は「1人3役というのはオマケみたいなもので、この自粛期間を過ごしたある若者たちの普通のドラマとして見てほしいです。林遣都劇場ですけど(笑)」と視聴者にメッセージ。林オンリーの40分を堪能したい。

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2020年6月11日のニュース