吉澤ひとみ被告 初公判 涙流し反省も酒は断っておらず 30日スピード判決

[ 2018年11月30日 05:30 ]

吉澤ひとみ被告
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 酒気帯び状態で車を運転し、ひき逃げをしたとして自動車運転処罰法違反(過失傷害)と道交法違反の罪で起訴された元「モーニング娘。」の吉澤ひとみ被告(33)の初公判が29日、東京地裁(佐藤卓生裁判官)で開かれた。吉澤被告は起訴内容を認め、1時間20分にわたった公判で「社会人として甘さがあった」と終始涙を流した。検察側は懲役2年を求刑した。

 9月の保釈時に茶色かった髪を黒くし、薄化粧の吉澤被告はやつれた様子で、グレーのスーツと黒いヒールで入廷。「無職か」と聞かれ「はい」と消え入るような声で答えた。

 いずれも基準値を大きく上回る酒気と速度超過を犯し、救護義務も怠った衝撃の事件。検察側の冒頭陳述を聞くうち吉澤被告の表情は険しくなり、涙を流し始めた。弁護側が、証拠として提出した元所属事務所の社長と元マネジャーからの嘆願書を読み上げると、さらに大粒の涙が顎先からこぼれ落ちた。

 被告人質問では「被害者の方に本当に申し訳ないことをした」と反省の思いを繰り返した。検察側は、事故直後に目撃者が吉澤被告に停車を促したのに現場を立ち去ったことや、現場での事情聴取で前夜の飲酒量を聞かれた際、少なく答えたことを追及したが、それぞれ「パニック状態になっていた」「聞かれた瞬間ふと頭に浮かんだ量を答えた」と回答。隠ぺいや保身の意図はなかったとした。

 検察側は、現場を立ち去ったことに「刑事責任を免れるためとしか考えられない」と批判するなどし、懲役2年を求刑。法曹関係者は、スポニチ本紙取材に「悪質性を大きく認めた重めの求刑」と指摘する。一方の弁護側は「悪質とまでは言えない」として、執行猶予付きの判決を求めた。悪質性や、吉澤被告の事件への向き合い方をどう判断するかが、判決の大きな鍵となる。

 そんな中、傍聴席がざわついたのが、吉澤被告の夫に対する検察側の証人質問。吉澤被告の現在の飲酒量を聞かれた夫は「急激に減っています」と回答。検察側が驚いた様子で「それは全く飲んでないということではない?」と聞き返すと「そうです。急激に減っています」と繰り返し、事件後も飲酒していることが明らかになった。公判では「(妻は)事件前は毎日のようにキッチンで酒を飲んでた」と夫が供述していたことも判明した。

 吉澤被告は保釈後、不安定な精神面を正常に近づけるための専門医療施設に入院。不安定さには酒も影響したとみられる。家族の監視とサポートに支えられ、一定の改善が認められたとしてすでに退院したが、酒量が減ったとはいえ、現在も事件の最大の原因である「酒」とは決別できていない状況だ。法廷では車に一生乗らないとも誓ったが、その思いは伝わるのか。30日のスピード判決で審判が下る。

 ≪被害者と示談成立≫吉澤被告と被害者の男性、女性との示談が、それぞれ成立していたことが明かされた。既に2人への賠償金と慰謝料を支払っており、弁護士は「寛大な処分を求める」とした2人の上申書を読み上げた。一方、検察側は「顔に傷が残るケガを負い、精神的にもダメージを受けた」とする女性の供述を読み上げた。事故後に取り消された運転免許は、今後9年間は再取得できない。それ以降についても、吉澤被告は「再取得するつもりはありません」と述べた。運転免許を取得した14年から4年間で交通違反3件、事故2件を起こしており、交通法規の意識が「十分ではなかった」と述べた。

 ≪傍聴券求め1137人≫20枚の傍聴券を求めて1137人が抽選に並ぶなど注目を集めた初公判。長蛇の列の中には吉澤被告のファンの姿も見られた。長野県から新幹線で来た会社員男性(42)は「いても立ってもいられず来てしまった。本人がまた頑張ろうと思った時に戻ってきてほしい」と神妙な面持ち。都内在住の会社員星川沙希さん(28)は「小学生の時から大好きだった。ファンはずっと応援しているよと伝えたい」と目を潤ませた。

 ▽事件メモ 起訴状などによると、吉澤被告は9月6日午前7時ごろ酒気帯び状態で乗用車を運転し、東京都中野区の交差点に赤信号を無視して進入。20代女性をはね、40代男性にもケガを負わせたが、そのまま走り去ったとしている。交差点には、法定速度を約26キロ超過した時速86キロで進入していた。逮捕当時、吉澤被告の呼気からは基準値の約4倍のアルコールを検出。

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