漫画家・土山しげるさんの功績 “食べ手”にこだわった独自アプローチで異色分野を開拓

[ 2018年11月30日 09:45 ]

11月16日、都内のホテルで行われた、漫画家土山しげるさんお別れの会
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 「喰いしん坊!」「極道めし」などグルメ漫画を数多く描いた漫画家で、5月にがんで亡くなった土山しげるさん(享年68)のお別れの会が11月16日に行われた。この日は「ちびまる子ちゃん」の作者で、8月に乳がんで亡くなった漫画家さくらももこさんを偲ぶ「ありがとうの会」の日でもあった。さくらさんの会を取材後、土山さんの会へ足を運んだ。

 土山さんは「ちびまる子ちゃん」に比べれば、老若男女に幅広く愛される作品こそなかったかもしれない。だが「極道めし」「借王」など映像化作品の多い人気漫画家だった。

 会場となった都内のホテルには、漫画家仲間や出版関係者ら約250人が集まった。中でも“グルメ漫画閥”は確認できただけでも元祖グルメ漫画「包丁人味平」のビッグ錠氏や、「クッキングパパ」のうえやまとち氏、「味いちもんめ」の倉田よしみ氏ら、豪華な面々が来場していた。

 独特のアプローチで、グルメ漫画の可能性を探った土山さん。ビッグ錠氏は「僕は作る方の視点で描いたけど、土山君は食べる方から描いた人」と評した。自身の代表作「包丁人味平」は、料理人を主人公とし、料理バトルを描くスタイルを確立してグルメ漫画の基礎となったが、土山さんは“食べ手”にこだわった漫画家と評した。

 食べる表情や仕草、シチュエーションの表現を追求した土山さんの一つの到達点は「極道めし」かもしれない。自由に食べ物を選べない囚人たちが刑務所で、今まで食べたおいしい食事の思い出を語り、誰が一おいしそうに語れるか勝負する物語だ。

 凄い設定を考えたものだと思う。だがグルメと任侠を融合させることも多い“土山ワールド”では、異色作でもないかもしれない。土山さんは異色分野を立ち上げた人なのだ。

 ビッグ氏が言うには漫画と料理は「似ている」そうだ。「好きな材料を使い、自分の分野をとことん極めれば、おいしい物が作れる」という。どんなものも題材にできるし、調理の仕方も無限にある。漫画という表現の懐の深さを表す名言だと思った。

 さくらさんと土山さん。独自の世界を作り上げた2人が逝ってしまったのは寂しいが、たくさんの面白い漫画を残してくれたことに心から感謝したい。(記者コラム)

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