大杉漣さん最後の主演作 光石研 大杉さんのスーツ着用で「大杉さんと一緒に来た」

[ 2018年9月21日 18:48 ]

映画「教誨師」完成披露試写会で舞台あいさつに立った光石研(左)と古舘寛治
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 今年2月に急逝した俳優・大杉漣さん(享年66)が初めてエグゼクティブプロデューサーを務め、最後の主演作となる映画「教誨師(きょうかいし)」(監督佐向大、10月6日公開)の完成披露試写会が21日、都内で行われ、舞台あいさつに俳優の古舘寛治(50)、光石研(56)ら共演者が登壇した。

 大杉さんが受刑者に対して道徳心の育成や心の救済に努め、改心できるよう導く教誨師・佐伯を演じ、死刑囚たちが心やすらかに死ねるよう導くことは正しいことなのか葛藤しながら、忘れたい過去と対峙(じ)し、自らの人生と向き合っていく物語。死刑囚役に、大杉さんが亡くなる約7時間前まで撮影していたテレビ東京の連続ドラマ「バイプレイヤーズ〜もしも名脇役がテレ東朝ドラで無人島生活したら〜」でも大杉さんと共演した光石や、大杉さんと同じ事務所に所属する古館らが出演。大杉さんにとっての同作が最後の主演作で、また唯一のプロデュース作となる。

 光石は「実は今日、ここに来る前に大杉さんのお墓にお参りに行ってまいりました。着ているジャケットもいただいた大杉さんのものです。だから、今日は大杉さんと一緒に来ております」と思いを吐露。「以前、僕は『映画は映っているものしかないんだよ。俳優の気持ちだとか、精神なんかは映らない』と偉そうなことを言っておりましたが、すみませんでした。この映画には大杉さんも魂、気持ち、すべて映っております。大杉さんの顔も、体も、手も全身が映っております。今日は俳優・大杉漣を浴びて帰ってください。そして、宣伝してやってください」と力強く語った。

 古舘は「この映画は大杉漣さんの初プロシュース作品で、大杉さんはこれを機にもっと2作目、3作目を撮りたかったんだと思う。残念ながら最初で最後のものになりました。大杉さんの望みは多くの人に見ていただくことだと思う。きょうはそのスタートになります」とあいさつ。登壇者は口々に「この映画は大杉漣さんに尽きる」と作中の大杉さんの存在感について繰り返し、烏丸せつこ(63)も「漣さんもここにいらっしゃると思います」と大杉さんに思いを馳せた。

 光石は本作で初の死刑囚役。「死刑囚というよりも、大杉さんの胸を借りて、大杉さんと2人だけのシーンを四つにやれるという喜びは大きくて、それがたまたま死刑囚だった」と感慨深げに語った。映画初出演となる玉置玲央(33)は「現場の雰囲気がとても良くて、大杉さんが作っていただいた空気の中でやれたというのが、初めてでしたけど、自由に伸び伸びとやらせていただいて、ありがたかったです」と語った。

 佐向大監督はプロデューサーとして大杉さんの様子について「ケータリングもすべて大杉さんが用意してくれて、たまにはサラダも作ってくださった」と撮影でのエピソードも明かした。

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2018年9月21日のニュース