「ファミリーヒストリー」オノ・ヨーコ氏 異例TV出演の舞台裏 取材期間は1年余り

[ 2017年8月18日 10:00 ]

ニューヨークで「ファミリーヒストリー」の収録を行った(左から)ショーン・レノンとオノ・ヨーコ氏。VTRは日本語版・英語版と番組史上初となる2画面(C)NHK
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 故ジョン・レノン(享年40)の妻で米ニューヨーク在住のアーティスト、オノ・ヨーコ氏(84)が18日放送のNHK「ファミリーヒストリー」(後7・30)に登場する。昨年2月に救急車で病院に運ばれ、入院。今年春には健康状態の悪化が報じられたが、息子でミュージシャンのショーン・レノン(41)に自らのルーツを伝えたいと久々のテレビ出演を決めた。NHKエンタープライズの西ケ谷力哉エグゼクティブプロデューサーに異例ずくめの舞台裏を聞いた。

 著名人の家族の歴史を本人に代わって徹底取材し、アイデンティティーや家族の絆を見つめるドキュメンタリー番組。2008年にスタートし、不定期放送。12年からのレギュラー放送は今年3月に終了した。今回は73分の特別編。

 収録はニューヨークのソーホーにあるショーンのスタジオで行われた。ヨーコ氏の祖父は柳河藩の武士の家に生まれ、のちに日本興業銀行総裁に。ショーンは「サムライと聞いていたが、本当だとは思わなかった」と驚き。ヨーコ氏の父は東京銀行の常務取締役、母は安田財閥の創始者・安田善次郎の孫にあたる。ソファーに座り、VTRに見入るヨーコ氏も「全然知らなかったことが随分あるから、おもしろい」と語った。

 今回、ヨーコ氏の家族を取り上げた理由について、西ケ谷氏は「日本はもちろん、世界においても最も有名な日本人の1人。ヨーコさんの家族の歴史を取材することで『世界の中の日本』が見えてくると感じました」と説明。

 出演が実現したのは「息子のショーンさんが自身のルーツに興味を持ってくれ、さらに、ぜひ母と見たいという思いを持ってくれたことが最も大きかったです」。途中「何度も交渉をあきらめかけました」というが「しかし、番組の趣旨の説明を重ね、出演に応じていただきました。このような形で、テレビ番組に出演いただくのは、かなり珍しいことかと思います」。異例のテレビ出演で、貴重な機会となった。

 収録中のヨーコ氏は「ショーンさんが興味深くVTRに見入っているのを、本当にうれしそうに見守っていました」(西ケ谷氏)。VTRはヨーコ氏に日本語版、ショーンに英語版と番組史上初となる2画面を用意。「お二人が真剣に見入って、自然な親子の会話をされていました。また、ショーンさんは途中からメモを取りながら、本当に熱心に見ていました。ショーンさんは何度も『おもしろいね』と日本語でヨーコさんに話し掛けていたことが印象的でした。われわれスタッフはショーンさんの母を想う言葉に胸打たれました」と8月初旬に行った収録を振り返った。

 収録が終わると、ヨーコ氏は驚きながら「あなたたちのリサーチは素晴らしい。よくこんなに調べたわね」とスタッフにねぎらいの言葉を掛けたという。今回、取材期間は交渉を含めて1年余りと通常より長く、スタッフも海外取材を含めて5人と通常より多い異例の態勢。本人も知らない事実を発掘する番組の“驚異の調査力”には定評があるが、さらに力が入った取材で明らかになるヨーコ氏のルーツとは――。

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