漂流ポスト設置から2年半…林部智史 被災地で鎮魂の「あいたい」

[ 2016年10月10日 11:00 ]

犠牲者の遺族たちの前で歌う林部智史
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 会いたい、会いたい。そして抱きしめたい――。東日本大震災で命を落とした大切な人たちへ、伝えることのできなかった思いを手紙にして届ける「漂流ポスト」が、被災地の岩手県陸前高田市に設けられてから2年半。同じ東北の山形県出身でデビュー曲「あいたい」がロングセラー中の新人歌手、林部智史(28)が9日、現地を訪れ、被災者たちに鎮魂の歌を届けた。

 赤く古びた漂流ポストは同市広田町のカフェ「森の小舎」の前にある。店主の赤川勇治さん(67)が、犠牲者の遺族の悩みを聞き「しまい込んだ悲しみを手紙を書くことで外へ出し、苦しみを少しでも和らげられれば」と考えたのがきっかけ。これまでに届いた手紙は300通以上。今ではその存在を知り「同じような悲しみを持つ全国の方たちから手紙が届く」という。

 林部の「あいたい」を知ったのは今夏。知人に紹介され「驚きました。手紙に込められた思いとぴったり重なった」。

 赤川さんによると、ポストに届く手紙のほとんどに綴(つづ)られているのが「会いたい」の文字。その言葉の後に「抱きしめたい」が続き「すべての手紙はこの2つの言葉に尽きる。林部さんの歌なら、そんな思いをしまい込んでいる方たちの心を開くことができると思ったんです」。

 犠牲者の遺族らに歌を紹介する一方で、林部に来訪を依頼。福島などの被災地を訪れてきた林部も快諾し、この日の生歌唱が実現した。

 12人の遺族らを前に「あいたい」のほか、故人が好きだった石原裕次郎さんの「わが人生に悔いなし」をという女性のリクエストにも応えた。圧倒的な歌声に、震災で夫を亡くした50代女性は「この歌を聴くと、あの人を思い出す。そして繰り返し聴いているうちに自分も前へ向いていかんと、という気持ちになる」と強調。林部は「誰かのために歌うことや誰かに必要とされる歌手になりたいという思いも大切にしていきたいと強く感じた1日でした」と話した。

 ◇漂流ポストの宛先 被災者以外も、匿名の手紙も受ける。〒029―2208、岩手県陸前高田市広田町赤坂角地159の2、森の小舎内「漂流ポスト3・11」まで。

 ◆林部 智史(はやしべ・さとし)1988年(昭63)5月7日、山形県生まれ。EXILEのATSUSHIらを輩出した音楽学校を首席で卒業。今年2月、シングル「あいたい」でデビュー。有線放送全国リクエストランキングで17週連続TOP10入り中。今月25日にはNHK「うたコン」(火曜後7・30)に生出演する。

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