八名信夫 健さん直伝、悪役の心得「殺されに行く顔をするな」

[ 2016年7月17日 10:00 ]

インタビュー中に満面の笑みを見せるす八名信夫

 泣く子も黙るコワモテで「悪役商会」を率いる八名信夫(80)。プロ野球の投手から俳優に転身し、大柄な体格と圧倒的な迫力で名悪役として確固たる地位を築いた。それを支えたのは、東映時代の先輩で2014年に亡くなった名優、高倉健さん(享年83)の教え。悪役のイメージを生かして頑固オヤジを体現し、講演活動などで“世直し”にも情熱を注いでいる。

 泣く子も黙るコワモテで「悪役商会」を率いる八名信夫(80)。プロ野球の投手から俳優に転身し、大柄な体格と圧倒的な迫力で名悪役として確固たる地位を築いた。それを支えたのは、東映時代の先輩で2014年に亡くなった名優、高倉健さん(享年83)の教え。悪役のイメージを生かして頑固オヤジを体現し、講演活動などで“世直し”にも情熱を注いでいる。 (飛澤 美穂) 「実は甘党なんです」。サングラスを外し、少し照れながら語る顔は、銀幕で見せてきた悪党とは正反対に優しく穏やか。「酒も飲む二刀流。昔、銀座に大福餅の屋台があって、飲んだ後に若い連中に“探せ”って言って買いに行かせてね。甘味屋に行くと、“あの人甘党なんだ”ってびっくりした顔で見られる」と明かした。

 小学生の時から野球を始め、1メートル82と体格にも恵まれ、1956年に東映フライヤーズ(現日本ハム)に入団。58年、登板中に腰を骨折し、当時、球団オーナーだった東映の大川博社長から俳優転身を命じられた。

 演じるのは顔も映らない通行人ばかり。高給だった野球選手とは一転し、ギャラは1日500円の日々が続き「悪役は主役と斬り合ったり撃ち合ったりするから顔が映る。“役”とつけば3000円くらいもらえるし、狙うならこれだ」と志望。監督に「大きいから倒れると迫力がある」と売り込み、野球で培った俊敏さも立ち回りで重宝がられ、悪役としての起用が増えた。

 東映の看板スターだった健さん主演の「昭和残侠伝」「網走番外地」シリーズにも出演。「健さんからは“ギラギラしとけ。腹いっぱいの顔して撮影所の中を歩くな”と教えられた。“最初から殺されに行く顔をするな”とも言われました」。この教えが、主役と対峙(たいじ)する迫力を生み出した。

 著名人が健さんの思い出を語るドキュメンタリー映画「健さん」(8月20日公開)では、健さんが現場で入れるコーヒーのまずさを暴露。「どろっとしたコーヒーでまずいんだ。健さんは見てないフリをして見ているから飲み干すと、“もう一杯”って勧められて」と苦笑い。「騒がしいヤツに睡眠薬と下剤を少し混ぜたコーヒーを知らん顔で飲ませたり。わんぱくなところもあったね」と懐かしそうに語った。

 一方、極寒のロケでも火に当たらない姿を目の当たりにし「“スタッフは凍える思いでやってる”と吹雪の中で足踏みしてた。“どんなことがあっても辛抱せえ”と教えられた」と振り返る。「結婚寸前の頃に(江利)チエミちゃんのところまで車で送る途中、“そこの修理場に寄れ”と言われて、店員に“この車が来たら全部俺のツケでやってくれ”と言ってくれた。思いやりがあって、中身もスターでした」としみじみと語った。

 ◆八名 信夫(やな・のぶお)1935年(昭10)8月19日、岡山市生まれの80歳。明大を中退し、東映フライヤーズに入団。プロ野球3年間の通算成績は15試合に登板し、0勝1敗。防御率3.86。主な出演作は、映画は「昭和残侠伝」「網走番外地」「不良番長」「仁義なき戦い」シリーズ、ドラマはNHK大河ドラマ「独眼竜政宗」、連続テレビ小説「純情きらり」など。14年にソフトバンク対日本ハム戦で始球式に登板した。

続きを表示

この記事のフォト

「美脚」特集記事

「連続テレビ小説「スカーレット」」特集記事

2016年7月17日のニュース