「ALL OUT!!」テレビアニメ化 ラグビーW杯が追い風に

[ 2015年9月30日 11:20 ]

「ALL OUT!!」単行本1巻の表紙

 イングランドで行われているラグビーW杯。日本代表が南アフリカを相手に歴史的勝利を収めたことで、日本国内ではラグビー旋風が巻き起こった。

 代表ジャージは売り切れが続出し、23日のスコットランド戦では、各地のパブリックビューイングで大勢の人が日本代表にエールを送った。「ルールはまだ知らないけど、日本が頑張ってると聞いて応援しに来ました!」と、ラグビーを見たことがないという人も応援に来ていた。ラグビー経験者は「友達とラグビーの話しをしたことがなかったので、注目が集まってうれしい」と満面の笑みを浮かべていた。

 そんな中、2016年には、アニメ界に初めてラグビーを題材にしたテレビアニメが登場する。漫画雑誌「月刊モーニングtwo」(講談社)で連載されている「ALL OUT!!」だ。

 身長159センチの主人公・祇園健次が、高校入学の日に190センチの石清水澄明と出会い、ラグビー部に入部。未経験者で低身長の祇園が、持ち前の負けん気を武器に、ラガーマンとして成長していく姿を描いた作品。体格で劣る選手があきらめずに立ち向かい続けるという構図は、「ジャパン・ウェイ(日本らしい戦い)」をスローガンに掲げる日本代表と重なる。主人公がど素人なので、ルールや技術の話しも随時、説明がある。W杯で感動してラグビーに興味を持ったという人にぴったりな作品ではないだろうか。

 最初は、ラグビー人気の余波がアニメにも来たのかと思っていたが、アニメ化は、今回のW杯が始まる前から決まっていた。講談社の担当者は「ぴったりすぎるタイミング。こんなことあるんですね」と驚いている。今のところ、原作の読者は競技経験者が多いというが「大金星のおかげで、漫画もアニメもたくさんの人に見てもらえるのでは」と意気込んでいる。

 ラグビー題材のアニメやドラマがこれまで少なかったのは、フィールド上だけで30人を動かすという難しさに、ラグビーというスポーツへの関心が見合っていなかったからだ。今回のW杯が大きな注目を集めたため、今後、映像化への動きが増えていく可能性は高い。

 「ALL OUT!!」が成功を収めれば、ラグビー作品が増える起爆剤になるだろう。漫画もアニメも、中高生への影響が大きいため、日本開催の19年W杯に向けて、ラグビー人気をさらに加速させるのではないか。アニメ好きの記者は、新たな名作が誕生する予感に心を躍らせている。(記者コラム)

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2015年9月30日のニュース