江波杏子 節目の受賞「もう少しやらせていただいてもいいのかな」

[ 2011年1月18日 08:39 ]

毎日映画コンクール・田中絹代賞受賞の喜びを語る江波杏子

 【毎日映画コンクール・田中絹代賞】デビューして半世紀。節目の栄誉に江波杏子は「もう少しやらせていただいてもいいのかなと励みになります」と喜びをかみしめた。

 絡みこそなかったが、田中さんとは市川崑監督の「おとうと」(60年)で共演。「“接点”なんて、そんなおこがましいことは言えません。隅で立って見ていたものです」と振り返った。

 母親の和子さんも戦前に活躍した女優。江波が5歳の時に亡くなったこともあり「早く自立したかった」と、17歳になる少し前に13期ニューフェースとして大映に入社。給与は3000円。「いまの3万円くらいになるのかしら。美容室に行かなくてもいいようにパーマもかけず、お昼ご飯も食べなかった」と研究生時代の思い出を語る。

 撮影所では食事の仕方、車の乗り方など多くのことを学び、それが体にしみついている。「衣笠貞之助先生からは足袋を履くときの女の動きなんかも教えていただいた」

 67年に始まった「女賭博師」シリーズの“昇り竜のお銀”で看板スターに成長。「全く分からない世界だったので、正直嫌で逃げ出したくもなりましたが、あの時代があったからこそ、まだこうしてやらせてもらっている」としみじみ。大映倒産後に主演した「津軽じょんがら節」も忘れられない代表作だ。映画の現場は「胎内に返ったような心地良さがある」と話す。昨年も「食堂かたつむり」など3作品で存在感を示した。健在がうれしい大女優だ。

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2011年1月18日のニュース