遠藤要 直談判で“てっぺん”つかんだ

[ 2011年1月18日 06:00 ]

毎日映画コンクール・スポニチグランプリ新人賞の遠藤要

2010年毎日映画コンクール・新人賞

 NHK朝の連続テレビ小説「てっぱん」の“欽にい”役でお茶の間人気も急上昇の遠藤が“てっぱん”ならぬ“てっぺん”に上りつめた。

 別の役で依頼が来た。しかし、台本を読んで無性に挑みたくなったのが認知症の祖母と暮らすボクサー志望の青年「田村」だった。「セリフで説明するより、目や体の動きで表現しなければいけない役どころ。やってみたかった」と真利子哲也監督(29)に直談判してまでつかんだ役だけに「すっごくうれしい」の言葉には実感がこもった。

 東京芸大大学院映像研究科に学んだ真利子監督の卒業作品。「田村」と気鋭の漫画家、それぞれの逸話が交錯して起こる“化学反応”は鮮烈だった。現在73キロの体重を60キロに落とし、撮影の1カ月半前から役に没入。時に監督とも衝突しながらの現場は熱気ムンムン。とりわけ商店街でゲリラ撮影されたシーンは圧巻で、フードをすっぽりかぶってのひったくりなど緊迫感がみなぎった。

 「俳優になった原点は地元の老人ホームでやった芝居」と明かす。14歳の時に両親が離婚。女手ひとつで育ててくれた母親は18歳の時に急死する。ぐれて地元の暴走族に入ったりもしたが、介護士をしていた友人の母親の依頼で芝居を作り、ホームで上演。「人間ってバカだから」というタイトルで台本は自ら書いた。「さんざん迷惑をかけた母親を失って初めて気づくありがたみ。だから、失う前に気づかなきゃダメだ…そう訴えた話です」と明かしたが、自身の母への思いを重ねたことは言うまでもない。

 老人たちが涙を流して喜んでくれた。その姿に感動したのは遠藤の方だった。「芝居ってこんなに人に影響を与えられるんだ」と感じ入り、8万円だけを手に19歳で上京して俳優を目指す。路上生活に近いこともして苦労を重ねたが、志があるからぶれることはなかった。陰ながら支えてくれた人たちの人情も温かった。そんな生活は5年ほど続いたが、これが血となり肉となっている。多少のことではへこたれない骨太のナイスガイ。天国の母にもいい報告ができた。

 ◆遠藤 要(えんどう・かなめ)1983年(昭58)12月25日、千葉県生まれの27歳。07年公開の映画「クローズZERO」のオーディションで三池崇史監督に見いだされデビュー。10年は「ボックス!」「BOX袴田事件 命とは」にも出演。身長1メートル76、特技はキックボクシング。

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