寺島しのぶ“いきなり本番”に全力投球

[ 2011年1月18日 06:00 ]

撮影秘話を語る寺島しのぶ

2010年毎日映画コンクール・女優主演賞

 第60回ベルリン国際映画祭の最優秀女優賞で華々しく幕を開けた2010年。世界が拍手を送った「キャタピラー」の演技はベルリンより5年長く歴史を刻んできた毎日映コンでも大輪の花を咲かせた。「赤目四十八瀧心中未遂」で受賞した03年以来、7年ぶり2度目の主演賞。寺島は「次への自信につながります」と顔をほころばせた。

 若松孝二監督(74)との初タッグ。送られてきた脚本に目を通し「直感的に私がやらなければいけないと思った。体で感じてドキドキが止まらなくなりました」と“衝撃の出合い”を振り返る。

 両手足を失い中国戦線から復員した軍人と、そんな夫の世話に追われる妻の関係を通して戦争の矛盾を描いた作品。“生ける軍神”と称えられる夫だが、楽しみは食欲と性欲だけ。「彼を支えなきゃいけないと思う一方で、偉そうにしているダンナを見て嫌気だったり、葛藤だったり、そんな二面性を出せたらいいなと思いました」と“銃後の妻”のもどかしさをリアルに演じてみせた。

 「戦争って何の罪もない人たちをただ殺し合うだけのことなんだという思いを新たにしました。戦争を知らない私ですが、次世代に伝える働きもしなければいけないんだとも感じました」

 いきなり本番という若松監督の演出は新鮮に映った。「何が起こるか分からないスリル。私も一発勝負が好きなので、監督のやり方は合いました。でも“(私を使って)失敗したなあ”と思われるのが嫌だったから常に全力投球でしたね」

 寺島は「やっぱり“あの人ありきだよね”と言われるようなものを作っていきたい」と今後を見据えながら「ベルリンで世界の人に名前を知ってもらい、半歩でも道が開けた気がします」と海外進出もしっかり視野に入れている。

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2011年1月18日のニュース