新人賞の徳永えり“完全燃焼”で迫真演技

[ 2011年1月18日 06:00 ]

毎日映画コンクール・スポニチグランプリ新人賞の徳永えり

 2010年(第65回)毎日映画コンクールの各賞が17日、決定した。みずみずしい演技で将来性を感じさせた若手に贈られるスポニチグランプリ新人賞には「春との旅」の徳永えり(22)と「イエローキッド」の遠藤要(27)が選出された。表彰式は2月8日、川崎市の「ミューザ川崎シンフォニーホール」で行われる。

 北海道、宮城のオールロケの旅を終えてつかんだ初めての個人賞。吉報を受けて跳びはねたのは一瞬といい、「賞を頂いた責任を感じています。ただ、仲代(達矢)さんをはじめ、この作品に携わってきた方々に対する恩返しという意味ではホッとしています」とけなげに語った。

 身を寄せる場所を求めて元漁師の忠夫(仲代)が孫娘の春(徳永)と姉兄弟を訪ね歩くロードムービー。脚本も手がけた小林政広監督(57)に身を委ね、祖父を捨てるという葛藤にさいなまれ、時に頑固な春を、演じるより、生きた。

 とりわけ圧巻だったのが、離別する父親(香川照之)と対峙(たいじ)する場面。テストの段階で感情が抑えられなくなり、涙がボロボロこぼれた。テストを繰り返すことで知られる小林監督も感じるものがあったのか、即本番へ。結局、このときのものが採用された。本人は「本番まで感情を止められなかった私の弱さ。まだまだです」と反省するが、周囲はすさまじい潜在能力に舌を巻き、そして映画界の未来を見た。

 女優として注目を集めたのは蒼井優(25)の親友役を演じた「フラガール」(06年)。その後はこつこつと作品と向き合い土台を築いてきた。「どの作品も命を削ってやらなきゃと思っています。だからいつもこの作品が終わったら女優を辞めようと思ったり(笑い)」と完全燃焼する。

 一方で「仕事は楽しい?」の問いには「うーん」と困惑顔。「楽しむ余裕はないです。いろんな女優さんが“30歳を超えたら楽しいよ”と言う。そこを見たくて頑張っているのかもしれない」。

 対峙した仲代から贈られた言葉は「あなたは女優らしくない。華があるかないかと言ったらない。だから女優を続けなさい」。自分探しの旅は続く。

 ◆徳永 えり(とくなが・えり)1988年(昭63)5月9日、大阪府生まれの22歳。中学2年からファッション誌「ピチレモン」の読者モデル。04年のドラマ「放課後。」(フジテレビ)で女優デビュー。今年は映画「は☆さ☆み hasami」の公開を控える。1メートル56。血液型O。

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