１０

「トーキョー・リング」では、変身したファフナーは大蛇ではなく大木のお化けとなっている

【第２幕】◇前奏曲◇ビオラとチェロによるトレモロに乗ってコントラバスとティンパニが「巨人の動機」をゆっくりと演奏。続いてバス・チューバが「大蛇の動機」。これは大蛇に姿を変えてニーベルングの指環をはじめとする財宝を守るファフナーを表わしたもの。さらに木管楽器による「指環の動機」、トロンボーンによる「呪いの動機」、さらに「憎悪の動機」の再提示により、アルベリヒによって指環にかけられた呪いの効力が生きていることが暗示された後、幕が開く。

◇第１場◇闇に沈む夜の深い森にある洞窟の前。アルベリヒが大蛇に変身しているファフナーから指環を奪い返そうと機会をうかがっている。背景に「憎悪の動機」。そこに「さすらい人の動機」とともにヴォータンがやってくる。アルベリヒは、自分を騙して指環などの財宝を奪い取ったヴォータンを責めるが、まったく相手にされない。ヴォータンはミーメがファフナーを殺すことが出来る強い若者を連れて、やって来ることを告げる。さらにファフナーにも警告し、その場を去る。アルベリヒは神々を呪い、恨みつつも近くに身を隠して様子を伺おうとする。「巨人の動機」「大蛇の動機」が不気味に響く。