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[ 2009年12月19日 06:00 ]

【第3幕】◇前奏曲◇「生き生きと、しかし重みをもって」と指定された前奏曲。10年の中断を経てワーグナーの作曲技法が格段に充実したことが顕著に感じられる音楽。「自然の生成の動機」から転じた「智の神エールダの動機」をベースに「ワルキューレの動機」、さらに「契約の動機」、「神々の黄昏の動機」などが重層的に組み合わされ、嵐のような激しさで頂点を築き上げた後、「魔の眠りの動機」「運命の動機」を伴いながら、オーケストラは静まり幕が開く。

◇第1場◇岩山のふもとの荒野にヴォータンが現れる。オーケストラは「さすらい人の動機」。あたりは前奏曲に呼応するように暴風雨。ヴォータンは眠りについていた智の神エールダを起こす。ここでヴォータンは、エールダをヴァーラと呼ぶ。しかし、オーケストラは「智の神エールダの動機」を演奏しとおりヴァーラがエールダであることが示される。ヴォータンは彼女に世界の行く末について尋ねる。エールダは「神々の滅亡」は避けられないこととあらためて警告する。そこに金管が「ヴァルハルの動機」を演奏。エールダはヴォータンの行状を批判し、2人の間の娘ブリュンヒルデについて言及。これに対してヴォータンは英雄ジークフリートへの期待を語る。ジークフリートとブリュンヒルデを結婚させ、この2人に指環を奪還させ、ニーベルングの呪いから解放される、というものだ。ここでヴァイオリンが「ジークフリート愛情の動機」を奏でる。しかし、エールダはこれに取り合わず、不機嫌になったヴォータンは再びエールダを眠らせてしまう。

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2009年12月19日のニュース