矢野燿大氏「すごい試合だった」両監督の覚悟を決めた采配に見応え

[ 2023年11月2日 05:15 ]

SMBC日本シリーズ2023第4戦   阪神4―3オリックス ( 2023年11月1日    甲子園 )

矢野燿大氏
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 【矢野燿大氏 視点】すごい試合だった。終盤に岡田監督が「湯浅投入」のカードを切れば、中嶋監督は「連続申告敬遠の満塁策」を打ち出した。日本一に向け、両監督が覚悟を決め、采配を振るった。阪神が2勝2敗のタイとしたが、先が全く読めない。だからこそ面白いシリーズになろうとしている。

 8回2死一、三塁のピンチで5番手に湯浅を投入したのは、岡田監督の大きな賭けだった。結果は1球で中川圭を二飛に封じた。真ん中低めの149キロ。少々甘くても抑えたことが大きい。本人もホッとしたはずだし、甲子園のムードを一気に盛り上げる湯浅投入だった。

 一方の中嶋監督も最後に思い切った手を打った。2つの暴投で9回1死三塁。ここで中野と森下を連続で申告敬遠し、満塁策を選択した。捕手出身の中嶋監督は満塁のプレッシャーは十分に知っている。押し出しも投手の頭をよぎる場面だ。

 中嶋監督の胸中を察してみた。あの満塁策は4番・大山に打たれるという負け方まで想定した上での策だったのではないか。苦しいのは当たり前。それで負けたら仕方ない。第5戦に向けていくしかない。そこまで腹をくくっていたと思う。

 3三振と同点につながる失策をし、途中交代した佐藤輝を第5戦からどう使うかも今後のポイントだ。残念だったのは失策直後に内野がマウンドの桐敷のところに集まった場面。佐藤輝は最後に加わった。「ゴメン」と言っても何も変わるわけではないが、あの状況なら真っ先に行く選手であってほしい。そう感じた。 
(本紙評論家)

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