東海大菅生の150キロ右腕　日当直喜の大化けフォークを見よ！　18日開幕センバツ

ブルペンで次々とフォークを投げ込む東海大菅生・日当（撮影・篠原　岳夫）
Photo By スポニチ

　1月にスタートした「突撃！スポニチアンパイア」。11年から6年間、NPB審判員を務めた柳内遼平記者（32）が、フル装備で選手たちの成長や、魅力をジャッジする。第3回は「選抜特別編」として第95回選抜高校野球大会に出場する東海大菅生（東京）の最速150キロ右腕・日当（ひなた）直喜投手（3年）と、能代松陽（秋田）の最速144キロ右腕・森岡大智投手（3年）を紹介する。

　東海大菅生グラウンドのブルペン。1メートル90、105キロの恵まれた体格の日当は「フォークに注目してほしいです」と言った。さらに「分かっていても打てないフォークを投げている自負があります」とニヤリ。15歳年下の自信満々な顔に「俺はプロ野球の審判員として飯を食っていたこともあるんだぞ」と大人げなく対抗心を燃やしてしまった。

　胸の前で構えるセットポジション。見た目の豪快なイメージとは異なり体重移動はスムーズだ。はじくようにリリースした最速150キロの直球は外角いっぱい。「ストラーイク！」と気持ちよくコール。続いて自信満々のフォークが来た。ブレるような軌道で落ち「なるほどナックル系か。こんなものか…」と思った。日当の「もういっちょ！」の声で投じられた一球。今度は「縦スラ」のように鋭く曲がり落ちた。予想外の軌道に驚き「…ボール」とジャッジが弱々しくなってしまった。

　記者の動揺を察したように「宝刀」の連投。次は正統派の真っすぐ落ちるフォークだ。「落ちた！」と思ったところからもう1段階落ち、ワンバウンドした「2段階フォーク」に圧倒された。そして仕上げは、シンカーのように左打者から逃げるフォークをストライクゾーンに。こんな多彩なフォークはプロ野球でも未体験。フォークのフルコースを披露したドラフト候補は「フォークだけで6、7種類を投げ分けている」と胸を張った。

　マウンドを降りると殺気にあふれた日当の表情は一変した。人懐っこい笑みを浮かべ「良い経験になりました」と言われ握手した。「自分はまだまだなので、いろいろな人に教わりながら理想のボールを研究しています」。甲子園でも、絶対的な自信を持つフォークと直球で好投するイメージが湧いた。実力派右腕の伝家の宝刀に注目だ。

　◇日当　直喜（ひなた・なおき）2005年（平17）7月6日生まれ、東京都墨田区出身の17歳。梅若小1年時に鐘ケ淵イーグルスで野球を始め、桜堤中でも同チームに所属。東海大菅生では1年秋からベンチ入り。遠投120メートル、50メートル走6秒6。憧れの選手はロッテ・佐々木朗、楽天・田中将。好きな言葉は「気持ちは技術を上回る」。1メートル90、105キロ。右投げ右打ち。

　≪5日目初戦で対戦の21世紀枠城東を上田監督警戒≫2年ぶり5度目となる選抜初戦は、5日目の第3試合で21世紀枠の城東（徳島）と対決。若林弘泰前監督が部員への体罰で解任となり、1月に就任した上田崇新監督は「ここ一番で力を出せる面では（城東は）脅威です。甲子園ではやるべきことを一つずつやりたい」と話した。プロ通算2133安打の元ヤクルト・宮本慎也氏の長男・恭佑（2年）は、背番号18でベンチ入り。1メートル85の長身から最速140キロの直球を武器にする右腕が、初の甲子園に挑む。