【新井さんが行く!】人生でプロ野球選手でいられる時間は長くない 初心忘れず、野球漬けの生活楽しんで

[ 2022年1月11日 07:00 ]

新井貴浩氏
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 今年もプロ野球の新人たちがそれぞれのチームの寮に入り、合同自主トレを迎えた。この時期が来るたびに1年目のことが思い出される。

 入寮して最初に驚いたのは、食事の味と量。こんなにおいしいものを、こんなにたくさん食べられる。食堂に行けば、いつでも飲み物は飲み放題、冷蔵庫にあるヨーグルトなども食べ放題。立派な練習場も併設されて、打ちたいときに打てる。これがプロか…と。

 練習もキツくて、ビックリした。駒大で厳しい練習には耐えてきたつもり。とんでもなかった。午前中はずっとウオーミングアップ。アップという名の強化で、吐きそうになった。隣を見れば、合同自主トレ中の先輩たちはもっと追い込んでいた。いつか同じことをやるようになるのか…とゾッとした。気分転換にと持ち込んだTVゲームなんてやる余裕はない。どれだけ食べても、練習がキツいから、体重が減る。キャンプに入るまでに数キロは落ちた。

 伝統的に練習が厳しいカープでも、特に厳しい時代だったように思う。練習をした…というより、やらされた。あのときがあるから、いまがある。体も強くなれた。やはり、寝ていては、うまくなれない。流した汗の分だけうまくなれる。練習した者の勝ちだ。

 あれだけ練習したカネさん(金本知憲氏)でさえ引退のときに「もっと練習しておけばよかった」と言い残した。名言だ。同じ引退を迎えたとき、同じように思った。

 いまは育成枠もあってプロの世界へ入ってくる人数も増えた。ただし、試合に平等には出られない。競争は昔よりもシビアになった。プロ野球選手になりたい…という夢をかなえ、それぞれに次の夢があると思う。入ったからには横一線。ドラフトの指名順位は関係ない。初心を忘れずに夢を追い続けてほしい。

 キャンプが始まれば、朝から晩まで練習。学業もある学生と違って、一日中、野球のことだけを考えて過ごすのは初めて。プロ野球選手になったと実感すると思う。人生において、プロ野球選手でいられる時間は決して長くない。一年一年が勝負。幸せを感じて、どっぷりと野球だけの生活に漬かってほしい。(スポニチ本紙評論家)

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2022年1月11日のニュース