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なぜNPB審判員はスポーツ新聞を読むのか

[ 2022年1月11日 07:30 ]

2017年5月、広島─ヤクルト戦の初回、空振り三振に倒れるウラディミール・バレンティン外野手から暴言を受け、退場を宣告した福家英登球審
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 アマ野球を担当する記者は今年で入社3年目。20年4月の入社時に先輩から何度か受けた質問は「今の若い人は新聞を読まないだろ。スポーツ新聞は読んだことある?」。胸を張って「はい!」と答えることができた。

 記者はNPB審判を務めた11年から16年まで仕事のために毎日欠かさずスポーツ新聞を読んだ。プロ野球の現場で働く審判員にとってスポーツ新聞は規則書と同じくらい必携だった。

 高校を卒業後「野球関係の職につきたい」という思いから独立リーグの四国・九州アイランドリーグの審判員になった。元パ・リーグ審判部長の村田康一さんの下で審判修行を積み、20歳でNPB審判員の採用試験に合格。憧れの世界に飛び込んだ。初の仕事は2月の春季キャンプ。宮崎で練習を行うソフトバンクに帯同しブルペン投球や紅白戦の判定を担当した。全盛期を迎えていた和田、杉内が投じるベースの手前で鋭く変化するスライダーには「これがプロか…」と衝撃を受けた。

 もう1つ驚いたことがある。先輩審判員が持つ知識量だ。新入団選手、故障した選手、ボークする可能性が高い投手、球審を担当する日に先発が予想される投手…。現在のように誰もがスマホを持っているわけではなかった時代。先輩らはさまざまな手段で情報を入手していたが、同じキャンプクルーだった先輩・福家英登さんは「スポーツ新聞で情報を仕入れている」と教えてくれた。

 それ以来、スポーツ新聞を買うことが日課になった。もちろん「スポニチ!」と言いたいところだが「日刊スポーツ」を買っていた。理由は福家さんが「スポニチ」の読者だったから。「俺と同じ試合を担当する時は交換して読めるやろ(笑)」と提案されたのだ。

 日本野球機構(NPB)は昨年の12月13日に21年シーズンの審判員奨励賞に福家英登審判員(42)を選んだ。選出理由は「今季も安定した仕事で、中堅審判員としての自覚や言動など、成長がみられ、将来のNPB審判員のリーダーとなる資質が感じられた」とあった。スポーツ新聞を読むきっかけをくれるなどお世話になった先輩にスポットライトが当たり、うれしかった。(記者コラム・柳内 遼平)

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