甲子園V大阪桐蔭主将 日本製鉄かずさマジック・中村が現役引退 全身全霊フルスイング“涙の最終打席”

[ 2021年12月26日 11:44 ]

日本製鉄かずさマジックの中村
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 大阪桐蔭の主将として14年夏の甲子園で全国制覇した経験を持つ、日本製鉄かずさマジックの中村誠(25)が今季限りで現役引退を決断した。

 引退することを決意したのは1年前。元ロッテなどでサブマリン右腕として活躍した渡辺俊介監督には「今年1年で辞めますけど、頑張ります」と強く宣言して今シーズンに臨んだ。そして、チームは3年ぶりの“夢舞台”、都市対抗への出場を決め、東京ドームで迎えた最終打席。「色々思うこともあったので、恥ずかしいんですけど泣きながら…打席に立った時は涙とかはなかったんですけど、目が腫れていたのでヘルメットを深くかぶって」。9回に0―8の2死走者なしの場面で代打として打席へ向かった。結果は惜しくも空振り三振。しかし、「思い切り振ろう」と攻める姿勢を最後まで忘れない、全身全霊のフルスイングだった。

 大阪桐蔭では、外野手で勝負強い打撃と俊足を誇るリードオフマンとして活躍。主将としてチームを全国制覇に導き、西谷浩一監督から全幅の信頼を寄せられた人間性も大きな話題になった。「人間性とかじゃなくて、結果で評価される人間でありたかった」。結果が求められる厳しい世界。かずさマジックでは、外野手から捕手に転向するも出場機会に恵まれなかった。「やっぱり悔しかったです。試合にも出れていないっていうのがあったから、それを見返してやろうというか、人間性もプラスくらいの感覚で僕はいきたかった」。

 自分の実力を考えると、はじめは無理だと思っていた社会人野球。「僕みたいな選手が社会人野球をやることで、今後に生きるかなと思った」と3年という見切りをつけて、厳しい世界に飛び込んだ。「社会人野球から何かを盗んでやろうと思ってました」。野望を内に秘めたまま、この経験は必ず今後のプラスになると信じて、かずさマジックで3年間プレーした。

 どんな時も野球を楽しむための努力は惜しまなかった現役生活。「どの場面も僕は好きだった。比較はあまりしたくない」と振り返る。中学生の時に出会った恩師の影響で、教員になりたいという夢を持ち、日体大時代には高校の教員免許を取得した中村。まだまだ希望にあふれた25歳。「やっぱ野球は好きなんで、ずっと野球に携わっていきたい」と甲子園を沸かせたスターは静かにユニホームを脱ぎ、第2の人生を歩み始める。

 ◇中村 誠(なかむら・まこと)1996年(平8)4月30日生まれ、福岡県糸島市出身の25歳。中学時代は糸島ボーイズに所属。大阪桐蔭では3年夏に甲子園優勝。日本体育大を経て日本製鉄かずさマジック入り。趣味はゴルフ、釣り。1メートル78、80キロ。右投げ右打ち。

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