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巨人・坂本もうらやむ、ヤクルト・山田の集中力

[ 2021年12月26日 08:00 ]

日本シリーズ第5戦 8回無死一、二塁、山田は左越えに同点3ランを放つ(撮影・大森 寛明)
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 2021年のプロ野球。日本一に輝いたのはヤクルトだった。2年連続最下位から、20年ぶりの頂点に立った。日本シリーズは全6戦を取材させてもらった。全てが僅差でドラマチック。第5戦の山田哲人内野手(29)の3ランでは、巨人・坂本勇人内野手(33)の言葉を思い出した。

 強烈な破壊音だった。三塁側スタンドにある記者席でも、そのすさまじさを聞き取ることができた。2―5の8回無死一、二塁。カウント3―1から134キロチェンジアップを山田のバットが完璧に捉えた。感触は十分。打った瞬間、歩き出した。スタンドも総立ちだ。熱狂に包まれた。

 敗戦濃厚だった一戦が、一時は同点に(結果は敗戦)。たった一振り。高津監督は「ホームランは球場の空気を変えることができる。そういう選手の力は心強いし、素晴らしい」と絶賛した。思い出したのは坂本の言葉。あるとき、山田の凄さを聞くと「集中力。ここぞの集中力は本当に凄い。見習いたいというか、うらやましいですよね」と返ってきた。

 山田は10年ドラフト1位で履正社から入団した。06年に同じく高卒でプロ入りし、すでに巨人で不動の遊撃手となっていた坂本に憧れた。バッティングフォームの動画を見て、参考にしたこともあった。ともに同行した元ヤクルトの宮本慎也氏の自主トレを通じて、親交は深まった。コロナが感染拡大する前の2019年までは、年に数回、食事もともにするほどの仲だった。

 ポジションこそ違うが、同じ右の内野手。山田は坂本の背中を追った。山田は3度のトリプルースリーを達成。坂本もいい刺激を受けながら、右打者では最年少の31歳10カ月で2000本安打を成し遂げた。その二人が、今夏の東京五輪では二遊間を守った。日本球界が誇る「ヤマサカ」コンビ。世界中の野球ファンを魅了し、日本の悲願の金メダル獲得にも大きく貢献した。

 坂本も認める山田の類いまれな集中力。11月25日の東京ドーム。左翼席上段へ吸い込まれる放物線に目を奪われながら、2人の顔が頭に浮かんだ。(記者コラム・川手 達矢)

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