ブレークの予感漂うオリ154キロ右腕・山下 絶対エース山本の投球スタイル手本に新球フォークも手応え

[ 2021年12月21日 08:00 ]

オリックス・山下舜平大
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 ブレークの予感が漂う。来季高卒2年目のオリックス・山下舜平大投手(19)だ。

 「ストレート99%、変化球1%みたいな感じで、外角100球だけの日、内角100球だけの日とか。しっかりと体の使い方を染み込ませて、という練習をしていました」

 ヤクルトとの日本シリーズ直前の11月中旬のこと。秋季キャンプを取材した。高知市東部球場のサブグラウンドで、背番号12が汗を流していた。最速154キロを誇る球威抜群の直球の精度を磨いていた。表情は明るく、その口ぶりから、順調な成長曲線を描いている様子を感じ取った。1年目の今季はウエスタン・リーグ18試合で2勝9敗、防御率5・48。直球とカーブだけで1年間投げ抜いた。芽生える自信の要因が、斉藤和巳氏直伝の新球フォークだった。

 「速めの曲がり球もほしいですが、今はフォークが凄い良い感じです。フェニックスで4試合かな、投げて凄くよかったんです。8月か9月くらいにタマスタいった時に、たまたま解説でいらっしゃった斉藤和巳さんに教わりました。握りですね。そんなに深くではなく縫い目に指を合わせる感じ。“ストレートみたいな感じで投げろ”とアドバイスしてもらいました」

 最高のお手本もある。絶対エース山本の投球スタイル。今季後半戦に見られた直球とフォーク、カーブ主体の配球は、自らが描く青写真と重なった。「ロッテとのCSファイナルSは本当に凄かったですよね。打者に直球とフォークを意識付けさせて、最後のカーブに手が出ないという場面が何度もありました。あれは自分の理想です」と目を輝かせる。

 直球とカーブだけで九州No.1の称号を手にし昨季ドラフト1位で入団した事実が、将来性を物語る。土台は高校時代。1日5食、米7~8合をかき込み、下半身中心のウエートトレも並行して10キロ増の93キロに肉体改造。球速も10キロ以上もアップし、150キロ台に到達した。入団時から、エンゼルス・大谷が日本ハム時代の16年に記録した日本最速165キロの更新に意欲を示しており、将来的な大台突破の期待が膨らむ。

 「まだカーブだけの自分には変化球が大事になるのは分かりますが、ストレートを磨くのは当然。1番こだわりたい球だし、それがあって変化球がある」

 25年ぶりのリーグ優勝を果たしたチームは充実の先発陣を築く。山本に山岡、高卒2年目で13勝を挙げた宮城もいれば、2年連続でローテーションを守った田嶋や、山崎福も安定感が増した。「投手としてのマウンドさばき、投球術を学んでいます。例えばタイプが違う人でも、盗めるものは盗もうと思っています」と山下。リーグ連覇、そして日本一へ。チームの合言葉は「全員で勝つ」。山下も、その1人になるはずだ。(記者コラム・湯澤 涼)

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2021年12月21日のニュース