楽天ドラ2安田 注目の逸材「東北のゴジラ」はパワーもキャラも規格外!?

[ 2021年12月21日 05:30 ]

楽天ドラ2の安田悠馬
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 楽天にどんな投手にも手が付けられない大怪獣に化けるかもしれない逸材が入団した。ドラフト2位の安田悠馬捕手(21=愛知大)だ。中央球界では無名で愛知リーグ2部から上位でのプロ入り。愛嬌(あいきょう)ある見た目や珍発言を連発するなど、来春キャンプでも注目を集めそうだ。日米で活躍した松井秀喜似の「東北のゴジラ」のルーツや成長の秘密に迫った。(重光 晋太郎)

 「犬鷲軍団」に加わるスター候補は、大物感がにじみ出ている。パワーはもちろん、キャラまで規格外。「東北のゴジラ」として大ブレークする可能性を秘める長距離砲のルーツをひもとくと、意外な一面が見えてきた。

 筋骨隆々の現在の姿からは意外だが「高校まで、あまりホームランを打てなかった」という。小学2年から野球を始め、3年生で放った思い出の「人生第1号」も左打席から逆方向に放ったランニングホームラン。「レフトの子が鼻くそをほじっていて打球を全然、見ていなかった。その間にホームインしました」と述懐する。中学時代も逆方向への打撃を好み「レフト前とか。打っても右中間に二塁打とか」と語る。

 ユニホームのカラーと松井秀喜似から「青ゴジラ」と呼ばれた須磨翔風高でも通算5本塁打。しかし、その中に安田の野球観を変える一発があった。3年夏の県大会3回戦の神戸第一戦。「3―5から3ランを打って逆転できた。ホームランは一振りで試合をひっくり返すことができる。快感を覚えました。野球の醍醐味(だいごみ)ですね」。今よりも、まだまだスリムだった男が、長距離砲に覚醒した瞬間だった。

 愛知大に進学して野球を続けたが、入学時に抱いていた夢は野球と無縁の世界だった。「服が好きなので、アパレル業界で働いてみたかったんです。ショップ店員に憧れがありました」と安田。3年生だった昨年に、コロナ禍で部の活動が制限されると、趣味の筋トレに費やす時間が増えた。1年時に85キロだった体重は軽々と100キロの大台を突破して105キロまで増量。おのずと飛距離もアップした。

 2部リーグながら「強打の捕手」として名前が売れ始め、同年からプロのスカウトが視察に訪れるようになる。大学通算32本塁打を記録し、運命のドラフト会議では楽天から2位指名を勝ち取った。

 ドラフト指名後はユニークで愛嬌(あいきょう)のあるキャラクターにも注目が集まるようになった。が、「昔からクラスの人気者だったのか?」との問いには「そんなことないです!人前に出て何かするのは嫌い。あまり目立ちたくないので…」と大きく首を振る。ただ、関西人でサービス精神は旺盛。カメラを向けられるとボディービルダーのようなポーズをとり、ファンへのお披露目の場となったファン感謝祭では「東北のゴジラで頑張っていくんで!」と声を張り上げた。

 今月4日の新入団発表に合わせて「少しでも好青年に見られたい」と五厘刈りにしたが、直前まではベリーショートの最新スタイルである「イージーパーマ」。大学4年間で長髪、ドレッド、ツイストなど、さまざまなヘアスタイルに挑戦した。「散髪が趣味。その時によってやりたい髪形が変わるんです。プロでも、その時にやってみたい髪形にしたいですね」と予告した。

 愛読書は「50回は読み直した」という人気漫画「スラムダンク」で、座右の銘は安西先生の「諦めたらそこで試合終了ですよ」。くじけそうになった時に、頭の中でこのフレーズを繰り返して自分を奮い立たせてきた。

 最近、気になっている人がいる。「ビッグボス」こと日本ハム・新庄剛志新監督だ。「誰もが知っている方。僕もあれぐらいのスターになってみたい。人生で一度はスーパースターになってみたい」と目を輝かせる。新庄監督も未知のポテンシャルとでっかい野望を引っ提げてプロの世界に飛び込み、スターまで駆け上がった。周囲を明るくするキャラクターと、コメント力は通じるものがある。今から安田の名前を覚えておいても損はない。

 【安田 悠馬(やすだ・ゆうま)】

 ☆生まれ&球歴 2000年(平12)3月3日生まれ、神戸市出身の21歳。妙法寺少年野球―横尾中―須磨翔風高―愛知大。高校時代に甲子園出場なし。愛知大では1年春から指名打者でリーグ戦に出場し、3年春から捕手兼任。右投げ左打ち

 ☆憧れの選手 小学生時代はオリックスのタフィ・ローズ。最近はソフトバンク・柳田、オリックス・吉田正

 ☆サイズ 1メートル85、105キロ、足のサイズは30センチ、胸囲は105センチ

 ☆ニックネーム 「ゴジラ」。高校時代から松井秀喜に似ていると言われ始め「言われてから、だんだんと似てきたのかもしれない…」

 ☆趣味 散髪、筋トレ、ファッション、日光浴

 ☆特技 じゃんけんに勝つこと

 ☆好きな漫画 スラムダンク、北斗の拳

 ☆好きな食べ物 肉(軟らかいレバー)、寿司(ウニ、ブリ)

 ☆理想の女性 菜々緒、橋本環奈

 【コメントも規格外!?安田語録】

 ▽10月14日(指名あいさつ)
 「ソフトバンクの千賀投手やオリックスの山本投手と対戦してホームランを打ちたい。50本塁打を打ちたいし、日本記録(60本)も超したい」(プロでの目標を問われて)

 「仙台にいる幼なじみに関西弁は人気者になれると聞いたので、これからも貫いていきたいです」(東北での生活について問われ)

 「楽天生命パークの観覧車に乗って、高所恐怖症を克服したいです。高いところが苦手なんで」(仙台で楽しみにしていることを問われ)

 ▽11月14日(入団交渉)
 「仙台は非常に寒いと聞いたので、筋トレをして体を内側から温めていこうかなと。一年中、半袖短パンでいたいので。ダウンジャケットは一応、持っていきます」(東北の寒さ対策を問われて)

 「契約金でまずは奨学金を返したいです。これまでは買えなかったので、ワコマリアというブランドの服を買いたい」(契約金の使い道を問われて)

 ▽12月4日(新入団発表)
 「仙台は凄く寒いと聞いていたのですが、お人も温かい印象でございます。これからも感謝の気持ちだけは絶対に忘れずに、感謝していきたいです」(東北のファンの印象を問われて)

 「今まで“青ゴジラ”と呼ばれていたので、これからは“えんじゴジラ”と呼ばれたいです」(呼ばれたいニックネームを問われて)

 《愛知大・八田剛監督がエール》間近で安田の成長を見届けてきた愛知大・八田剛監督(49)も「体は大きいけど筋肉が柔らかい。しなるような体の持ち主です」とポテンシャルの高さを証言する。3年時にブルペンで投手陣が球速や回転数を計測していた際に捕手の安田が「僕も投げてみたい」と立候補。すると150キロを計測し、投手転向も頭をよぎったという。プロ入りを誰よりも喜ぶ恩師は「プロでも小さくならず、豪快にバットを振ってファンを魅了できる選手になって」とエールを送る。

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